3月に入り、会社員は転勤や異動の辞令が出るシーズンになりました。あなた自身だけではなく、付き合っている彼やパートナーに転勤などの打診があった方もいるかもしれませんね。私自身も自分の働き方を考えた時、そして、パートナーが転職を実行したのも「春」でした。春は、ワークライフバランスの「ワーク」の変化がきっかけで、「ライフ」を考える季節ともいえそうです。

 そこで、今回から4回にわたり、女性の特性である「出産」をテーマに、働くことと出産・育児に関連する制度についてお伝えいたします。

第1回 出産までに知っておきたいお金の知恵編【今回はここ】
第2回 産休・育休で知っておきたいお金の知恵編
第3回 時短復帰で知っておきたいお金の知恵編
第4回 収入減少と退職で知っておきたいお金の知恵編

 働く女性が出産を考えたとき、仕事と家事の両立が不安になることは少なくありません。相談にいらっしゃる方の中にも、「家のこともしながら子育てして、働く自信がない」、「小さい子は体調を崩しやすいって聞くから、急に仕事を休んで迷惑を掛けたくない」など、妊娠前から働き続けることの不安を口にする方はたくさんいらっしゃいます。最近では結婚前から不安になっている女性も多いようです。

いずれは…と思っているけど、不安だらけです  (C) PIXTA
いずれは…と思っているけど、不安だらけです  (C) PIXTA

 もちろん、妊娠も出産も子育てもパートナーと協力して乗り越えるものですが、この連載では、女性が使える制度をお金の面からお伝えしていきます。

妊娠が分かったらまず妊婦健康診査受診票を

 「おめでとうございます!」と妊娠が分かったら、住んでいる自治体の窓口に行きましょう。

 「妊娠届」を提出すると、母子手帳と「妊婦健康診査受診票」をもらえます。「妊婦健康診査受診票」があれば、これ以降の検診は助成を受けることができるため、自己負担が抑えられるのです。

 通常であれば、私たちは病院に行ったときには健康保険証を使い、会計時には3割負担でお金を払います。でも、妊娠・出産では健康保険証が使えません。妊娠や出産は病気ではないため、全額自己負担での受診になるのです。

 そこで、活躍するのが「妊婦健康診査受診票」です。本来全額自己負担となる検診費用を自治体が助成してくれるから、妊娠検診費の自己負担が少なくて済むのです。

 全国平均では、10万2097円分の助成がありますが、助成内容やその助成金額、ひいては、私たちが負担する金額は、自治体やかかる病院によって変わります。世田谷区と大阪市の助成制度を参考までに紹介します。

世田谷区、大阪市のサイトを参考に作成
世田谷区、大阪市のサイトを参考に作成

 「妊婦健康診査受診票」はあくまでも健診費の「助成」制度です。無料になる制度ではないため、最終的な検診にかかる自己負担額は、5万~10万円を目安に考えておくとよさそうです。