また、回答者数が少ないと、年によって変動が大きくなります。

 たとえば、独身者で20歳代、年収750万~1000万円を見ると、該当者が1人しかおらず、その人がたまたま金融資産非保有者だったために、平均値・中央値共にゼロ円でした。でも、1年前の統計では、貯蓄額が3800万円の人が1人だけ対象者となっていたため、平均値・中央値共に3800万円という結果だったのです。

 1年違いで0円か3800万円というように平均値がかわることがあるのが、統計データです。統計データは正しくとも、自分の感覚とあまりにも違うと感じたときは、もう一歩進んで、調査方法や調査対象人数などを調べてみると、発見があるかと思います。

 多くの方が気にする「貯蓄の平均額」に話を戻しますが、なぜ平均額が気になるのでしょうか。学生時代のテストなら、平均点を取っていれば安心できたこともあるかもしれませんが、家計は学校のテストとは違い、貯蓄額が平均額より多いから安心ということにはなりませんよね。

平均額より少なくても幸せにお金が使えるなら… (C) PIXTA
平均額より少なくても幸せにお金が使えるなら… (C) PIXTA

 平均額よりたくさん持っていたとしても、旅行に行きたい、車を買いたい、と思ったときにお金がなければ、やりたいことができない可能性があります。その反対に、平均額より少なくても、結婚式のため、資格取得のためなど、目的に応じた貯蓄を貯めることができれば、自分で人生を選択することができます。

 平均データは絶対的なものと思わず、あくまでも「参考」程度にとどめ、自分がやりたいこと、欲しいものに合わせた貯蓄を実践してくださいね。

文/前野彩 写真/PIXTA

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