「量」より「難易度」のハードワークを選択したい

 力を付ける方法として戦略コンサルタントになるようなエリートコースもありますが、ハードワークな職種はどうしても体力勝負になるので女性は不利です。成長のために必要な崖っぷちは、仕事の「量」ではなく「難易度」。ベンチャーも長時間労働のイメージがあるかもしれませんが、シェルフィーのメンバーは無茶な働き方はしていません。

 仕事は常に一定以上のパフォーマンスを出すマラソンのようなものだと思っています。ちゃんと寝なくてはいけないし、プライベートで誰かに会わないと、学びもないので消耗していくだけになってしまいます。健康管理は私にとってすごく大事なテーマです。脈拍で眠りの深さが測れる「Fitbit」を使って、睡眠の質もチェックしています。

仕事の効率を上げるためには健康が第一。「Fitbit」で1日の運動量や睡眠時間を管理している。「基本は夜12時に寝て朝7時に起きると決めています。自律神経が整ってきて、目覚ましも必要ないんですよ」(鈴木さん)
仕事の効率を上げるためには健康が第一。「Fitbit」で1日の運動量や睡眠時間を管理している。「基本は夜12時に寝て朝7時に起きると決めています。自律神経が整ってきて、目覚ましも必要ないんですよ」(鈴木さん)

 ただ私自身は、プライベートと仕事を分ける感覚はないんです。名付けて「ワークライフインテグレーション」。人生イコール人間への興味、すべて鈴木晶子の活動なんです。

 自分自身を知るために、自分の体と向き合うヨガを1年間集中的に学びました。原理原則がつかめたら、あとは教えるのが一番勉強になるので、週末は依頼があった方の自宅で出張レッスンをしています。ボランティアで子どもに英語を教えたりもしていますが、どちらも趣味や副業という感覚ではなく、ビジネスでのパフォーマンスを上げるためにやっていること。ヨガでは「人が何かを習得するとはどういうことか」を学べるし、子どもは組織づくりと一緒で、「人間ってこういう言葉をかけたらこう反応するんだ」ということを目の当たりにできます。

 仕事かプライベートかみたいな二項対立は好きではありません。どちらか一方を選ばなければ、ではなく、どちらに寄りたいか。その時々で、自分の快適な位置を探せばいいのではないでしょうか。

 私は「月曜日に会社に行くのが嫌だなあと思った瞬間、会社を辞める」と周囲に宣言しています。今のところ、3年間でそう思ったことは一度もありません。私にとっての仕事は、幸せになるための手段なんです。

取材・文/谷口絵美 写真/西田優太

鈴木晶子(すずき・しょうこ)

シェルフィー ブランドマネジメント統括。高校時代に1年間のアメリカ留学を経験。横浜国立大学を卒業後、2014年にスタートアップ企業のシェルフィーに社員第一号として新卒入社。3年の間に営業、広報、人事、CSといった会社の主要部門の立ち上げに携わる。現在はブランドマネジメント部のマネージャーとして広報と人事を担当する他、新規事業を行う。趣味はヨガとクロスフィット。