2015年8月、スマートフォンや4Kディスプレイなど17種類24製品が並ぶ商品発表会が開催されました。そのすべてをたった1人でつくり上げたのが、UPQ(アップ・キュー)代表の中澤優子さん。ラインナップの豊富さやデザイン性の高さに加え、わずか2カ月という開発スピードが業界を驚かせました。なぜ、そこまでのスピードで仕事ができるのか。中澤さんの仕事の組み立て方にヒントがありました。

まず「最短」のスケジュールを割り出す

 携帯電話の商品企画・プロダクトマネジメント、パンケーキカフェの経営、オリジナルブランドの家電開発。これまで携わってきた仕事に共通しているのは、スケジュールの立て方です。何をするにしても、私はまず「最短」の締め切りを割り出して、それを絶対に守るんですね。その積み重ねが成果に結び付いているのだと思います。

 「最短」というと、とにかく目の前のことにがむしゃらに取り組むイメージがあるかもしれませんが、そうではありません。まずは「最短」がいつなのか、具体的な日にちを割り出します。カフェをオープンさせた時は、「何に一番時間がかかるのか」「他の人に頼まなければいけないことは何か」を調べることから始めました。すると、飲食店の開店に欠かせない保健所の認可に時間がかかることがわかったので、その認可が下りる日を締め切りに設定しました。これはもう、自分では動かせない期間ですから、逆に言えばそれまでに自分が準備を終えさえすれば、カフェをオープンできるわけです。

 認可手続きを進める間に、自分でやらなくてはならない店舗のコンセプト作りや内装、メニューの開発に取り組みました。結果、申請から22日後に認可が下り、目標通り、翌日の23日後にオープンすることができました。

自分を戒めるために、締め切りは短く

 1カ月でカフェをオープンしたと話すと、「そんなに頑張り過ぎなくても…」と言われることがあります。でも、あの時は「早くお客様に来てほしい」「誰かの喜ぶ顔が見たい」という一心だったので、大変だとはまったく思いませんでした。それに、締め切りを短く設定しているのには、早く結果が見たいというほかに、「自分を戒めるため」という理由もあるんです。

 どんなに早く結果を出したいと思っていても、締め切りまでの期間が長いと、きっと私は怠けてしまいます。会社員なら、誰かに決められた締め切りが必ずありますよね。でも、1人で働いている以上、誰も締め切りを決めてくれません。自分に甘くしようと思えばどこまでも甘くできる。そうならないために、あえて締め切りは短く切るようにしています。