カップルの写真撮影サービスを行う「ラブグラフ」を学生時代に仲間と立ち上げた村田あつみさん。現在は経営陣の一人としてブランディングの責任を負う立場にあります。いちデザイナーから経営者へ。会社の成長とともに変化する役割にどう向き合っているのでしょうか。


実は対面のコミュニケーションが苦手

 デザイナーとしての心構えを学んだ学生時代の体験が仕事での「第一の壁」だとしたら、今まさに、第二の壁に立ち向かっています。それは、経営者として私たちが目指す世界観や方向性を言葉で伝えていかなくてはいけないということです。

ラブグラフ 取締役CCO 村田あつみさん
ラブグラフ 取締役CCO 村田あつみさん

 そもそも私は人と話すのが苦手。就職するとしても営業だけは嫌で、文系でもパソコンと向き合っていられる職に就きたいと強く思っていたほどです。それがデザイナーになりたかった理由の一つでもあります。

 初めは少ないメンバーで活動していたので、デザイナーとして得意なビジュアルを使って、ラブグラフの世界観を表現していればよかった。でも今はスタッフも15人を超え、カメラマンは全国に200人。月に約200組が利用するサービスに育ってきました。ブランドを守るCCO(Chief Creative Officer)として、内外に向けて言語で伝えることも求められるようになっています。

 経営者だからといって、自分がチームを率いている感覚はないんです。後に入ってくる社員のほうが社会人経験が長かったりもしますし、上下ではなく水平な関係でつながっているイメージです。

 ただ、創業者として「こういう世界を作りたい」という思いは誰よりも強くあります。