女性の意識改革で新たな課題が判明

 ダイバーシティ推進に当たって最初に行ったのは、女性の意識改革だそう。2012年に育児中の女性を対象とした「ママ’s コミュニティ」を発足。昼休みの時間を使って仕事と育児の両立に関するディスカッションを行い、不安を解消していきました。その中でパートナーに対する家事育児の参画体制への不満が最も多かったことを受け、2017年からは男性にも対象を広げて、名前を「子育てコミュニティ」へと変更したそうです。

 また、「身近なパートナーの理解や協力がなければ、女性だけがいくら頑張っても燃え尽きてしまうだろう」という理由から、男性の育児参加促進を目的とした「イクメン推進プログラム」も2013年から開始。子育て中の男性社員を対象に、夫として必要なサポートや、身近な妻の課題を認識してもらう取り組みも始めました。

 「これまでパパたちは、余った時間で育児や家事に協力するという考えだったのですが、育児や家事のために時間を取る主体者意識が芽生えてきました。どうすれば効率よく仕事をして早く帰宅をできるかも考えるようになり、それが働き方や業務プロセスの見直しにもつながってきました」(藤本さん)

 また、男性の育児参加促進を目的に「育児休暇制度」も導入。未就学児がいる男女の社員が対象で、年間5日を上限に、有給の特別休暇を1日単位で取得可能にしています。

女性管理職候補者を育成する取り組みも

 女性管理職の育成に向けては「Women’s Management Community」を開催。グループ各社の女性管理職が対象で、「マインドセット」「マネジメントスキル」「管理職としての基礎知識」の3テーマを扱っています。

 「そもそも女性管理職自身が、持続的な企業の成長力や競争力につながるという女性活躍推進の意義をきちんと理解していないこともあります」と藤本さん。その理解を深めるために、社内の女性役員に登壇してもらったり、社外講師を招いてマネジメントに関するセミナーを開いたり、IRやCSR、広報などの管理職として必要な基礎知識に関する講義を行っているとのこと。

 この6月からは、女性の係長職と担当者向けに「なでしこアカデミー」を開催。女性管理職候補者の母集団を形成するため、「グループ内で頑張っている身近な先輩社員に、働き方や仕事の工夫などを話してもらい、自分の仕事を見つめ直したりモチベーションを上げて、管理職を目指す意識を持たせたりすることを目的にしております」と藤本さんは説明しました。