各社の取り組みを「見える化」、そして次の段階へ

 続く2013年から2015年を「アクション・トライアル」と位置づけ、具体的な行動に移していくことに。そのため、これまで基盤を作ってきたダイバーシティ委員会を解散します。次に取り組んだのは「ダイバーシティINDEX」という、それぞれが各社にとって必要な課題を抽出し、行動を起こすこと。そしてその課題や進捗状況を「見える化」することで取り組み事例の共有などにつながり、ダイバーシティ推進の加速化をする推進ツールとしました。

 そして、2016年度からは、新たにグループ各社の業種業態別のダイバーシティ推進を進めていくことに取り組んでいます。「多様性を受容する意識・風土の確立」「働きがいを実感できる職場環境の実現」「人財、価値観の多様化の実現」という三つの基本精神の骨格は変わらず、今年度は「多様性を企業の強みに」を共通のビジョンに、それぞれの確立・実現を目指してさらに加速していくといいます。

 女性活躍推進についても育成・登用を進める5カ年計画を立て、2012年6月にはわずか2.1%だった女性役員を2016年6月には5.0%とすることに取り組んできました。目標達成のための新たな取り組みとして、グループ本社では大きく分けて「キャリアップ意識の醸成」と「キャリア継続支援」の二つを行っています。

 女性に「あなたは、今の会社、またはJTBグループでどの役職にまでなりたいですか?」と質問すると、「役員にまでなりたい」と回答した部長クラスは6.6%、課長クラスではわずか2.0%でした。「今のままでよい」という回答に至っては、男性の倍以上もいたそうです。そのため、「女性営業職のためのメンタリング研修」や在外会社での経験をさせる「グローバル戦略派遣制度」など、意識や視野を広げるための取り組みが意欲や積極性意識の向上、自分の活躍を見つける場になっているはずだといいます。また、2016年4月からはパートナーの転勤やライフイベントによる転居・退社に対し、キャリア継続を可能にする制度を導入しました。

 新たな課題として、長時間労働の改善への取り組みもスタート。教育旅行、法人営業では「働き方の見直しプロジェクト」を実施。課単位で働き方の見える化することで、長時間労働を削減することができた部署の好事例をグループ全体で真似ることができるように共有しています。

 「ジェイティービーグループは女性の活躍なくして成長できない企業だと考えています。地球を舞台に創造していく事業を展開するジェイティービーグループだからこそ、ダイバーシティの先頭に立って推進していく指名があるというぐらいの気概と覚悟をもって努力をしていきたいと思っています」(末永さん)

文/北本祐子