ロールモデルを探す前に、自己内対話から始めて

――企業が女性活躍を目指すと、女性が管理職になるケースも増えると思われます。一方で、自分が将来そうなりたいと憧れるような“ロールモデル”が社内にいないと悩んでいる女性も多いです。

竹之内 「社内に、女性管理職のロールモデルがいない」と話す女性は確かに多いのですが、もしかしたら「管理職になったら、大変そう」という気持ちが隠れていないかを確認してほしいですね。

 ロールモデルを探す前に、まずは“自分の気持ち”と向き合うところから始めてほしいと思います。「管理職になったら、しんどそう」という思いがあったら、そう思っている自分を認めてあげましょう。「確かに、大変なのはイヤだよね」と。その大変さをさらに探って、イヤというのは「責任が重くなるのがイヤ」なのか、「やりがいや報酬がUPすれば、責任が重くても構わない」なのか。

 そうして自分の気持ちと向きあった後に、「どこかにロールモデルがいないかな」と探してみるのです。社内で見つからなければ、異業種交流会などに行って見つけてもいいと思います。自分の気持ちと向き合って自分と対話をすることで、進むべき道が見えてきます。

 これを“自己内対話” と呼んでいるのですが、自己内対話ができるようになると、今後後輩の相談に乗るときにも必ず役立ちます

――ありがとうございます。最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

今の自分が好きじゃないなら、好きな状態の自分を思い描く

竹之内 もし、読者で「今の自分自身があまり好きじゃないな」という方がいらっしゃったら、現状分析をするとさらに落ち込んでしまうかもしれないので、未来に目を向けることをおすすめしたいですね。例えば3年後や数年後に、「自分がどんな状態になっていたら自分のことが好きになれるかな」ということをイメージしてみてください

 「このままだと彼氏もできなくて、仕事だけの人生になってしまうかも」と思って不安なら、「では3年後、または数年後、どんな自分なら自分のこと好きになれるだろう?」と、自分に問いかけてみましょう。

 シングルでバリバリ働いている自分が好きだったら、堂々と今の仕事に邁進していくことに自信が持てますし、彼氏もいてアフター5も充実した人生を送っていたいと思ったら、「充実した人生ってどんなことをしていること?」「スキルアップのための勉強? それとも趣味の習い事?」「どんな男性と何をして過ごしていたい?」というように、イメージをどんどん膨らませていくのです。

 なりたい未来の姿が明確に見えたら、今すべきことも自然と分かってくるはずです。

――仕事も頑張りたいという女性にとって、今回の女性活躍推進法は好機ですね。

竹之内 女性が活躍するための”型”ができたことは、非常に喜ばしいことです。世の中は、まず”型”が整うことで、じわじわと実態が伴っていくことが多いですから。

 とはいっても、初めての試みなので、会社は「トライ&エラー」の連続かもしれません。でも、確実に女性が働きやすい社会につながると思います。ぜひこの波に乗って、「自分のことが好きだと思える自分」にどんどん近づいていってほしいと思います。

文/西山美紀 写真/洞澤佐智子