「女性活躍推進法」(正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)がこの春からスタートするにあたり、ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵さんへのインタビュー。前回に続く今回は、スキルアップのためにやっておきたいことについて話を伺いました。

小室淑恵(こむろ よしえ)
ワーク・ライフバランス 代表取締役社長

900社以上にコンサルティングを提供し、残業を削減して業績は向上させるという成果を出している。2014年9月からは安部内閣で産業競争力会議の民間議員として、政府の経済成長の方針「日本再興戦略」に長時間労働の是正と女性活躍こそが日本の経済成長の鍵であることを盛り込んだ。二児の母。3月23日には最新刊『労働時間革命』(毎日新聞出版)が発売。ほかに『30歳からますます輝く女性になる方法 仕事も結婚も子育ても何もあきらめなくて大丈夫!』(マイナビ)『女性活躍 最強の戦略』(日経BP社)など著書多数。
HP:http://www.work-life-b.com/
twitter:https://twitter.com/worklifeb
facebook:https://www.facebook.com/yoshie.komuro.5

――「女性活躍推進法」によって、これまで上司のほとんどが男性だったという企業でも、上司が女性になるケース増えてくるかと思います。その時に気を付けるべきことはありますか?

小室さん(以下、敬称略) 女性の上司には、従来の男性の上司のような、即断即決の“ティーチング(教える)型”のマネジメントを期待しないことですね。女性の上司は、部下と一緒に考えるスタイルが多いので、「なんで決断してくれないんだろう」「なんでもっと指示してくれないんだろう」と不満に思うことがあるかもしれません。でもそれは、仕事に柔軟性があることの裏返しでもあります。自分自身も意思をしっかり持ち、「自分はどうしたいのか」を上司に伝えて、一緒に仕事を進めていくことで、自分の裁量が上がり、スキルアップにもつながるのではと思います。

――さらにスキルアップに励みたいと思った時に、自分の力のどこを伸ばしたらいいか、どのように考えたらいいでしょうか。

小室 自分の“強みを弱み”を知っておくと、努力の方向を間違わずに済みます。私たちが行っているネクストリーダー研修でも宿題に出しているのですが、SWOT分析というものを活用しています。SWOTとは、S(Strength=強み)、W(Weakness=弱み)、O(Opportunity=機会)、T(Threat=脅威)の頭文字を取ったもので、一般的には企業のマーケティング戦略を考えるときに使う分析なのですが、それを自分自身にも当てはめてみるのです。

 職場の全メンバーから、「強みと弱み」「あなたのチャンスとなる外部要因、あなたを脅かす外部要因」の四つを書いてきてもらいます。上司、同僚、先輩の全員から、360度評価をしてもらいます。現状の自分がどのように評価をされていて、どこか課題だと思われているかが分かれば、今後すべきことが見えてくるはずです。

――その他、勤務時間外でしておくといいことはありますか?

小室 自分の勉強したい方向性と、同じ方向性で努力しているコミュニティに所属することをおすすめしたいです。例えば「女性管理職を目指す人」「コーチングを勉強する会」などでもいいと思います。同じ大学や、同じ業界では決して出会えないような人と、出会える場を持つことです。

 今後さまざまなタイプの人と働く機会が増えたときに、自分の人脈からの情報や知識を求められることが増えるでしょう。そのときに、会社以外に基盤が一つあると非常に役立ちますし、自己研鑽にもつながるものなら、まさに一石二鳥です。勉強のコミュニティは上昇気流に乗っている人が集まりますので、励まし合いながらみんなで高め合うことができると思います。