会社に制度がなくても使える「自動積立定期預金」

 財形貯蓄、社内預金は、いずれもお勤め先に制度がある場合のみ使えます。転職をしたり、退職をしてフリーランスになったりすると、続けられなくなることもあります。これに対して、お勤め先にかかわらず先取り貯蓄をできるのが、「自動積立定期預金」です。

 自動積立定期預金は、銀行などの金融機関で、毎月決まった日に、一定金額を普通預金から定期預金に自動的に積み立てるもの。金融機関によって細かな条件は異なりますが、月々5000円以上1000円単位など、自分で決めた金額を積み立てます。月々の積み立てとは別に、ボーナス月に積立額を自由に増額できるところもあります。積立期間も金融機関によって異なり、6年以内など定められているところや、解約しない限り自動継続されてずっと続けるところがあります。

 また、貯めたお金の取り扱いも、金融機関によって異なります。自動積立定期預金は、毎月毎月、新しい定期預金を預け入れるしくみですが、それぞれに満期が設定されるタイプと、「おまとめ定期」などと呼ばれ、数カ月分の積立金が貯まったら、それを一つの定期預金としてまとめられるタイプがあります。

 自動積立定期預金を始めるには、ご自身で金融機関の窓口に行って口座開設をする必要があります。また、毎月の積み立て日が必ずしもお給料日と同じではありませんので、給与天引きとはしくみが異なります。一方で、普通預金に残高がある限り、お給料収入があるかないかにかかわらず続けやすいのがポイントです。

先取りし過ぎには要注意!

 これらの方法はいずれも、初めに手続きさえすれば、後は面倒な手間をかけずに自動的に貯められます。貯めようとしてもなかなか貯まらない人には、ぜひ一度試してみてほしい方法です。

 ただし、上手に貯めていくためには、無理は禁物です。むやみに高い先取り額を設定してしまうと、残りのお金で生活が立ち行かなくなってしまいます。すると、せっかく貯めたお金を引き出すことにも。貯めては引き出し、貯めては引き出しを繰り返していると、結局あまり貯まりません。先取り貯蓄のために生活費を必要以上に切り詰めれば、ストレスが貯まったり、健康を害してしまったりというリスクもあります。大きく生活スタイルを変えなくても暮らせるだけの生活費はいくらか? を確認して、ゆとりの部分だけを先取り貯蓄に回すようにしましょう。

 生活費がいくらなのか分からない、月によって生活費の変動が激しい人は、まずは少額から始めてみては? 月に5000円、1万円と少しずつ積立額をアップしながら、「ここまでならやっていけそう」という金額を探ってみましょう。少額でもよいので、着実に貯められるしくみをつくることが大切です。

文/加藤梨里 イラスト/とげとげ。