ところでNISAってなに?

 まずはつみたてNISAの前に「NISA」のことを知っておきましょう。NISAとはNIPPON Individual Savings Account(日本版少額投資非課税制度)の略称です。毎年120万円までの新規投資額について、投資で得た利益が最長で5年間にわたって非課税になる制度です。

 通常、株式や投資信託に投資をして値上がりしたとき、配当金・分配金を受け取ったときには、これらの利益に20.315%の税金がかかります※1。つまり1万円の利益が出ても、手取りの利益は8000円弱になるわけです。NISAではこの税金が、投資をした年(購入した年)から5年間はかかりません。

 例えば2018年に100万円で、ある企業の株式を購入して、5年目の2022年に110万円で売却したとしましょう。値上がり益は10万円です。ここに税金がかかれば、手取りの利益は10万円×20.315%=2万315円を差し引いた8万円弱になりますが、NISAなら10万円そのままが手取りになります。

※1.特定口座・一般口座の場合
出典元:金融庁「NISAとは


つみたてNISAの仕組みは?

 NISAで利益が非課税になるのは最長で5年間です。つまり税の負担がかからないように利益を得ようとすると、5年以内には売却をして利益の額を確定させるか、5年たったところで「ロールオーバー」といって、6年目のNISAの非課税枠に移して、再度5年間の投資を続けるかを選ぶことになります。ただ、全く初めて投資をする人にとっては、売却のタイミングを判断したり、ロールオーバーの手続きをしたりするのはハードルが高いと感じるかもしれません。

 そこで、もう少し気長に投資を続けながら非課税のメリットを得られる制度が「つみたてNISA」です。

 つみたてNISAは、その名の通り積立形式での投資に特化したNISAの制度です。一定の条件を満たす投資信託を積み立てで購入した場合、毎年40万円分の投資額に対して最長で20年間、分配金と値上がり益に税がかかりません。最大限に活用するなら、年間40万円÷12カ月=約3.3万円までは、月々の積み立てを非課税でできるわけです。この制度を利用できる2018年から2037年までの20年間、ずっと積み立てを続ければ、年間40万円×20年=800万円分は、税の負担なく投資できます。

 非課税になると、税がかかる場合と比べてどれくらい有利なのでしょうか? 仮に、ある投資信託を年間40万円分購入して、毎年1万円分の分配金がついたとしましょう。ここに2000円弱(20.315%)の税金がかかれば、分配金の手取りは8000円弱になります。20年分にすると、税による手取りの差は約4万円です。月々は少額でも、長期間続けると意外と大きな差になることが分かりますね。

 また投資信託には値動きがあります。買った時よりも値段(基準価額といいます)が上がったタイミングで売却すれば値上がり益が出ます。こちらも、購入した年から20年間は課税されません。