学生時代の奨学金は社会人になったら利息が付く

 今、日本の大学生のうち奨学金を受給している割合は約半数。国内で最も利用者が多い日本学生支援機構の貸与型奨学金は、卒業すると返還が始まります。学生時代には「受け取る」お金だった奨学金が一変して、「払う」お金に代わるわけです。当たり前のことではありますが、いざ返すタイミングになるまでそのことを忘れていた、頭では分かっていても実際にお金が出ていく段階になって初めて実感が湧いてきて、びっくりする人も少なくありません。

※日本学生支援機構
平成26年度学生生活調査」(PDF)

 日本学生支援機構の貸与型奨学金には、利息が付くタイプと付かないタイプがありますが、付くタイプであっても、学生の間は借り入れ期間中でも利息が付きません。卒業する時点で利率が決まり、その後に元金とともに利息を支払います。例えば仮に年間100万円、4年間借りていたとしたら、貸与された総額は400万円。これを20年間で返すと、返還額は月に約1万7000円、うち500円弱が利息部分にあたります(第二種奨学金、貸与利率0.27%、定額返還方式、利率固定方式、返還期間2018年4月~2038年3月(20年)の場合)

※日本学生支援機構
奨学金貸与・返還シミュレーション


 借りた奨学金は、原則として卒業したらすぐに返還を始めます。基本的には、卒業時に返還用の銀行口座を指定し、毎月(または半年ごとと併用)、自動で引き落とされます。お給料が入ってきてすぐに使いきって残高が残っていないと、奨学金の返還分を引き落とせず延滞と見なされてしまいます。

 万が一延滞すると、年5%の割合で延滞金が課され、本人や連帯保証人、保証人に文書や電話で督促されます。さらに、3カ月以上延滞すると個人信用情報機関にその旨が登録されます。信用情報とはクレジットカードを作ったり、携帯電話を契約したり、住宅ローンを借り入れたりするときの審査に関わるもの。ここに延滞の情報があると、いわゆる「ブラックリスト」扱いになる恐れもあり、さまざまな契約で不利になるかもしれません。

 このように、「奨学金」という名前ではあるものの、仕組みはほぼ借金と同じ。ですからお給料が入ってきたら、使ってしまう前に奨学金を優先して返すようにしたいものです。



 とはいえ、勤続年数が短く、お給料がまだあまり高くない時期、特に一人暮らしなら、家賃や通信費、光熱費、食費などをやりくりするのでも精いっぱいかもしれません。そこで、収入が所定の額を下回る場合には、返還期限を最長10年間延長できる「返還期限猶予制度」や、月々の返還額を半分、または3分の1に減らす「減額返還制度」を利用することもできます。いずれも審査が必要で、延滞していると利用できないことがありますので、早めに検討しましょう。

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減額返還・返還期限猶予リーフレット」(PDF)