控除欄で天引きされている社会保険料をチェック

 会社が従業員にお給料を支払うときは、従業員の銀行口座に入金する前に、税金や社会保険料を差し引きます。これが「天引き」で、給与明細の控除欄に記載されます。天引きされる項目はおもに、健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の4つの社会保険料と、所得税、住民税の2つの税金です。

 健康保険は、病気やけがで医療機関を受診したときにかかる医療費の負担を軽くする公的保険です。また、病気やけがで会社を休んだときには傷病手当金、出産をしたときには出産育児一時金なども支給されます。この保険料のうち、半分はお勤め先が負担し、もう半分は従業員が負担することになっており、従業員負担分(この例では「10,967」円)が、給与から天引きされます。

 40歳以上になると、介護保険料も天引きされます。寝たきりや認知症などで、介護が必要になったときに、さまざまなサービスを受けるための公的保険です。こちらも、保険料の半分が給与から天引きされます。

 厚生年金保険は、定年退職後などに年金を受け取るための公的年金です。国民年金の上乗せ部分にあたり、保険料は国民年金と厚生年金をまとめて納めます。このうち半分(この例では「20,000円」)が、給与から天引きされます。

 雇用保険は、失業した際、次の職が見つかるまでの生活資金を補助する公的保険です。保険料の一部(この例では「1,120」円)が、給与から天引きされます。

 これらの社会保険料を合計したものが「社会保険料合計」で、この例では「32,087」円です。

控除される税金をチェック

 給与の収入額に応じて、所得税と住民税も天引きされます。上述の「支給」欄にある「課税合計(この例では「200,000」円)」から、社会保険料合計(この例では「32,087」円)を差し引いた「課税対象額(この例では「167,913」円)」に対して課税された金額が、「所得税」の欄に記載されます(この例では「3,620」円)。

 なお、住民税は前年の収入をベースに決まります。新入社員の人は前年に収入がない、または年収100万円以下ならゼロになっているはずです。ただし、来年には今年の収入をベースに住民税も天引きされるので要注意です。

 以上の社会保険料と税金の天引き額を合計したものが「控除額合計」です。この例では、「35,707」円です。これを、「支給」欄の「総支給額合計」(224,000円)から差し引いた18万8293円が、「差引支給額」つまり手取りの収入になります。

 なお、財形貯蓄をしている、会社の団体扱いで生命保険に加入しているなどの場合には、それらの金額が控除欄に記載されます。

 いかがでしょうか? ここまで分かれば、もう給与明細はバッチリです。なんだか数字がたくさん書いてあって面倒そう、という人も、次のお給料日にはぜひチェックしてみてくださいね。

文/加藤梨里 イラスト/とげとげ。