皆が一斉に同じようなリクルートスーツに身を包み、自己分析をする学生時代の就職活動に「全く違和感なく取り組めた」という人はいないのではないでしょうか。内心、「働くイメージが湧かないのに志望動機なんて浮かばない」「就活のために自分をつくることに抵抗を感じる」といった気持ちを抱きながら就活をした、という人も多いように思います。今回は、「就活への違和感から就職活動をしなかった」というアラサー女子が、2度の転職を経て「長く働けそう」な仕事に巡り合うまでのストーリーをお届けします。

「やりたいこと」って何だろう?

 ツイッターで見つけた会社で記者となった有里さんは、仕事の面白さを感じつつも、あまりに安い給料と将来への不安から、転職を意識するようになった。

 入社2年目からは転職エージェントにも登録し、本格的に転職活動を始めた。ところが、そこでぶつかったのが「やりたいこと」の壁だった。「記者の仕事は面白かったのですが、ずっと書き続けていきたいか、と言われると、そうでもない気がして……。転職エージェントからは記者経験が生きる広報の仕事がいいのではないか、と勧められ、『そうかな』と思って、広報の求人にいくつか応募したのですが、落ちまくりで全然決まりませんでした」

 いったい自分がやりたいことって、何だろう? 記者ではないけれど、広報でもない。でも、新しい情報に触れるような仕事は面白いと思っている……。そう考えていくうち、ウェブ媒体の編集の仕事がいいのではないか、と思って転職サイトで見つけたのが、ある会社のウェブのコンテンツ編集、ディレクションの仕事だった。

 面接を受けてみると、活発に営業活動をしていて、活気ある雰囲気の会社だった。若い人も多く、未経験OKということで「ここならウェブ編集のやり方を学べそうだなと感じました」。会社からもすんなりと内定が出て、有里さんは卒業後3年勤務した会社を辞め、未経験のウェブ編集の仕事に飛び込んだ。

 ウェブコンテンツ制作会社に転職した有里さんの仕事は、クライアントのニーズに合わせたコンテンツを企画、制作する編集ということだったが、入社してみると実態はだいぶ異なるものだった。

 「まずクライアントから仕事を取ってくるところから、つまり営業も仕事の範囲に入っていたのです。しかも、編集職なのにしっかりノルマがあって、とにかく数字を上げるように、というプレッシャーがすごい。実質、編集職というより営業職でした」