彼とも別れ、土日は寝て過ごす日々

 取材先から「もっと勉強して来い!」などと怒鳴られることもあったが、仕事に慣れてくると徐々に面白さも感じるようになった。

 「常に経済の最先端を追いかけているという独特の高揚感みたいなものがあるんですよね。ただ、何年も後輩が入ってこなかったし、とにかく人手が足りなかったので、仕事量が多く、毎日、早朝から深夜まで働いていて、疲れ切っていました。体調を崩しても替わりがいないので休めませんでした。

 つき合っていた彼氏とも別れ、仕事一色の生活。土日はどこかに出かける気力もなく、ただ寝るだけ。友人から誘われた合コンにも行ける心の余裕がありません。もうボロボロで、自分を愛せない状況でしたね。

 家族にも心配され、父からよく「笑顔だぞ!」と励まされていました。多分、笑えていなかったんでしょうね。最後の方は、普通のOL生活がしたい…そればかりを考えていました」

 この編集部で5年間働き、限界を感じ始めた頃、広告営業の部署へ異動になった。「編集がやりたくてこの会社に入ったので、不本意ではありましたが、どこかほっとしたのも事実です。ああ、これでまともな生活が送れるなーって」

異動して残念、でもほっとした (C)PIXTA
異動して残念、でもほっとした (C)PIXTA

営業への異動で自信を取り戻す

 広告営業の仕事は思いのほか楽しく、営業成績も良かったという。編集部にいたときに培った人脈やコミュニケーション力を活かして、売上ナンバーワンになったこともあり、自信を取り戻すことができた。

 「編集部にいたときは、もう毎日疲れ果てていて、『転職したいな』とは思っても、『私はどうせこの仕事しかできないし、こんな自分を雇ってくれる会社はない…』なんて、自信を失っていました。そもそも忙しすぎて、転職活動をする暇もなかったんです」

 営業成績を上げることで自信が持てるようになったうえに、自分を振り返る時間もできた沙希さんは、本格的に「転職活動をしよう」と思い立つ。

 沙希さんはまずエージェントに登録するのだが、転職活動は当初、思うように進まなかった。

 次週に続く。

文/井上沙保子 写真/PIXTA

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