20代はスキルアップを重視した転職を

 若いうちに転職を繰り返し、スキル形成ができていないと、どのようなリスクがあるのでしょうか。

 「20代のうちは、若さと体力と意欲を売りにすることで、未経験でもスキル不足でも、ある程度希望通りの転職をすることができます。ところが、30代に入ると、それまでの経験やスキルが問われるようになり、希望通りの転職がかなわなくなってきてしまう可能性があります。

 例えば、大学を卒業後、営業職に就いたものの、忙し過ぎてプライベートも充実させたいと、派遣の事務職に転向。生活の安定のため、30代に入ってからもう少し給料の高い仕事に就きたいと転職活動をするものの、希望する事務職の正社員の求人は少なく、専門的な事務スキルがないと転職ができなくなってしまう……といったことが考えられます」

 福島さんは、転職を考える際、単に「やりたいこと」だけでなく、その仕事でどんなスキルが身に付くのか、その仕事で「できるようになりそうなこと」も考えて仕事を選んでほしい、と話します。

 「今、目の前の仕事がつまらないから、職場が嫌だからと、その場しのぎで転職をするのではなく、転職した先で、どんな経験が積めるか、どんな専門知識が得られるか、どんな資格を取れるのかなど、長期的に見て、どんなことができるようになりそうか、将来に役立つスキルが身に付きそうか、という視点も持ってほしいです」

 また、転職活動を始めるに当たって、もう一つ気にしたいのは、社会状況や産業構造など、外部環境です。

 「自分の『やりたいこと』だけにとらわれるのではなく、東京オリンピックが終わった後の日本がどうなるのか、超・高齢社会となった2025年は社会はどういう状況かなど、産業界にはどのような流れがあり、将来的にはどんな人材が必要になるのか、といった情報を積極的に取りに行き、その上で今の自分が『できること』そして、今後、『できるようになったほうがいいこと』についても考えてみてほしいですね」