なんとなく「だまされた」感

 では、「ゆとり世代」のキャリア観にはどんな特徴があるのでしょうか。

 福島さんは「一人ひとり違うので、決めつけることはできない」としつつも、「『ゆとり教育』が実現したかったことを考えてみると、彼らの特徴が見えてくる部分もある」といいます。

 「知識偏重、詰め込み型教育への反省から、知識よりも『関心・意欲・態度』を評価するという方向性を打ち出したのが、ゆとり教育です。ゆとり世代には、この『関心・意欲・態度』を大事にする価値観が、深いところに根付いているように思います。極端に言うと、ゆとり世代は、『やってみたい』という態度を示したり、『やりたいこと』を見つけてやってみたりすることが、『いいね』と評価される教育を受けてきたのです。いわゆる『意識高い系』の若者もここから派生したもののように思われます」

 ところが、社会人になった途端、ゆとり世代は「君がやりたいことだけやれるわけじゃないんだよ」と「関心・意欲・態度」は否定され、学歴や実力が評価される現実社会での競争に放り込まれてしまいます。「これはもう、借り物競争をやっていたはずなのに、突然ルールが変わって普通の徒競走になっていたような感じです。僕も同世代なので分かるのですが、ゆとり世代には、なんとなく『だまされた』『大人は信用できない』というような気持ちが根底にあるように思います」

 そして、ゆとり世代が最初に「関心・意欲・態度」が評価されない社会の現実に直面するのが、就職活動だといいます。

 「今の就活のあり方にも問題があるとは思います。とことん掘り下げて自己分析をし、『やりたいこと』を熱く語って応募しても、何十社から理由もなく『お祈りメール』が届くわけです。自分の何が悪かったのかも分からないから傷つきますし、自分はダメなんだと自己否定するようにもなります」

え? やりたいことだけやればいいんじゃないの? (C) PIXTA
え? やりたいことだけやればいいんじゃないの? (C) PIXTA