新卒で大手メーカーの広告部でパッケージデザインを担当し、ヒット商品も手掛けるなど、順調にデザイナーとしての道を歩み始めた杏子さん(仮名、31歳)。しかし、入社2年目には「転職をしたい」と思い始めていたといいます。大手メーカーから小規模なデザイン事務所に転職をした杏子さんに、デザイナーならではの転職ストーリーを聞きました。

前回の記事「じわじわ違和感 31歳クリエーティブ転職の始まり

 大手メーカーでパッケージデザインを担当していた杏子さん。周囲のデザイナーたちの仕事の姿勢や雇用形態などに違和感を感じ始めていた頃、彼との結婚話が持ち上がった。

 「結婚準備も大変だったので、転職は結婚後、落ち着いてからにしよう」と心に決め、そのときまでにスキルアップしておきたい、とさまざまなデザインワークショップや勉強会、研修に参加していた。

 本格的に転職活動を始めたのは、30歳のことだった。

働き方に納得がいかなくなり… (C) PIXTA
働き方に納得がいかなくなり… (C) PIXTA

転職活動をスタートさせてエージェントに登録したが…

 転職活動を始めた杏子さんがまずしたことは、いくつかの転職エージェントに登録すること。

 まずは、大手の転職エージェント数社に登録してみたという。しかし、転職エージェントからはあまりいい情報は得られなかったようだ。「一般のエージェント会社にも、クリエーティブを専門にしているというサービスにも登録しました。、結婚直後だったので、深夜残業が続くような仕事は避けたかったし、前職の収入から大幅に下げたくもなかった。でも、エージェントからはその条件では仕事はないですよ、という感じで……」担当してくれたエージェントはデザイナーの転職事情にそれほど詳しくない様子だった。

 そこで、転職情報サイトをチェックしたり、デザイン専門誌やデザイナーに特化した求人サイトで情報収集したりして、自分で仕事探しをしていったという。当時、杏子さんの希望は、今までやってきたパッケージデザインではなく、本や絵本の装丁や映画のパンフレットなどの印刷物のデザインだった。「7年間もパッケージデザインをやってきたので、別ジャンルのデザインをやってみたかったのです」