「事実」を引き出す質問の仕方

聞き方のポイントは、「事実」を引き出す質問の仕方です (C)PIXTA
聞き方のポイントは、「事実」を引き出す質問の仕方です (C)PIXTA

 そのために大切なことは二つ。まず一つ目は、「自分の基準」を明確にしておくことです。

 「自分にとって仕事量が多いとは、どの程度なのか。残業時間にすると、どれくらいか。人間関係にしても、どのような関係性を望んでいるのかなどを具体的にしておきましょう。以前、お話しした『BE』『DO』で、自分自身について掘り下げることで、本当に求めているものが把握できるはずです」

 二つ目は、より具体的な答えを引き出すための質問をすること。

 「曖昧な質問の仕方では、曖昧な答えしか得られません。より具体的な答えを引き出すには、何を聞けばいいか考える力=質問力をつけることが大切です」

 では、よくある質問を例に見ていきましょう。

「仕事量は多いですか?」

 ↓(言い換えると)

■「入社してからの生活をできるだけ事前にイメージしたいので、1週間、1カ月、1年のそれぞれ残業の推移などを教えていただけますか?」

 仕事を「量」で聞くと抽象的なので、具体的な業務内容について確認することがポイント。「入社した翌日に何をするのか? 1カ月の業務の流れ、年間の業務の流れを具体的に聞くこと。自分がどんな仕事をするのかイメージできるようにしておくことです。また、1週間、1カ月、1年のそれぞれの繁忙期を聞くのも有効。仕事のフローを確認しておくことで、ある程度、忙しさが想像できるのではないでしょうか」

 休日出勤についても同様です。入社後の生活をできるだけ具体的にイメージしたいと伝えることで、したくないわけではないという姿勢を見せましょう。

「残業はありますか?」

 ↓(言い換えると)

■「意欲を持って働いていくために、プライベートで勉強の時間も欲しいと思っています。今回求人をされているポジションでは、月にどれくらい残業があるでしょうか?」
■「繁忙期にはやはり残業もあると思うのですが、だいたい月にどれくらいだと考えておけばよいでしょう?」

 「多くの人の場合、残業が絶対NGなわけではなく、残業ばかりの毎日にならないか、付き合い残業を求められないか、そういったことを気にしているかと思います。『残業はできません!』の一辺倒ではネガティブな印象を与えがちです。仕事に対する意欲があることを先に伝えれば、マイナス要因にはなりません。大事なことは、自分が知りたいことが何かを把握できているかどうかです。本当に知りたいことは何か、どのような質問を投げかければ欲しい答えが返ってくるかを考えましょう

 またこんな手段で、本当の姿を確認する裏ワザも――。

 「残業がどれぐらいあるのか気になる人は、夜、オフィスを訪れてみては? 窓の明かりがどれぐらいついているかで、残業の具合が分かります。ただし最近は、残業禁止で時間になると消灯になるところもあるため、分かりにくいケースもあるのでご注意」