前回の記事では、錦戸さんに転職エージェントの賢い見分け方をレクチャーしていただきました。6回目となる今回は、面接でのこんな「聞きづらい内容」について――。


 「仕事量は多いですか?」「残業はありますか?」「人間関係はいいですか?」「嫌な上司はいませんか?」「飲み会が苦手なんですが、参加しないとダメですか?」

 気になるけれど、聞きづらい。こんなことを質問したら採用に影響するのでは? そんな不安が頭をよぎり、ぐっと言葉をのみ込む――。「採用される側」という立場はやっぱり弱いもの?

残業多いですか? 人間関係いいですか? 仕事量多いですか? 聞いていいのかな、こんなこと… (C)PIXTA
残業多いですか? 人間関係いいですか? 仕事量多いですか? 聞いていいのかな、こんなこと… (C)PIXTA

聞きづらいことこそあえて聞くべき

 「そんなことはありませんよ。面接は、企業が応募者を見極めると同時に、応募する側にとっても、そこで本当にハッピーに働いていけるかを確認し、交渉するための大切な場。ですから本来、聞きづらいことこそ、あえて聞くべきなんです。それにより、自分にとってブラック企業かどうかを見抜くことにもつながります。もしも、本当に気になることを質問して落とされるのなら、『入社しなくてよかった』と考えましょう」

 とはいえ、こうした質問を無計画に投げかけるのはハイリスク。仕事に対する意欲が薄い、自己中心的など、ネガティブな印象を持たれてしまう可能性もあります。

 「ポイントは、質問の仕方を工夫することです。前向きな姿勢を示す言葉を先に伝えるだけでも、相手に与えるイメージはグッとよくなります」

 そして、聞き方同様、「伝え方」にも気を配る必要があると、錦戸さんは指摘します。

 せっかく質問をしても、こちらの意図が正確に伝わっていなければ、真意を引き出すことはできません。例えば、面接時に「仕事量はそこまで多くない」と聞いていたのに、実際かなり多忙だったり、「人間関係の良さが自慢。みんな仲がいい」というから安心していたのに、距離感が近過ぎてかえってストレスになったりする、「面接で聞いた話と違う!」というパターン。

 「仕事の量の多さ、人間関係のよさなどは、互いの主観や何を基準にするかによって捉え方が違います。お互いがそれぞれの感覚で話しているため、ミスマッチが起こる。重要なのは、『事実』を引き出すことです