転職活動という孤独な闘いを乗り切るために、キャリア・コンサルティングのサービスを上手に活用したいもの。いったいどのタイミングで、どんなふうに使うのが賢明なのか――。錦戸かおりさんが、元転職エージェントのコンサルタントならではの鋭い視点から本音でアドバイスします。

人生を左右する転職だからこそ、いいコンサルタントと出会いたい (C) PIXTA
人生を左右する転職だからこそ、いいコンサルタントと出会いたい (C) PIXTA

 転職を意識したときに選択肢の一つになるのが転職エージェントへの登録。でも、いつ登録するのがベストなのかイマイチ分からず、「とりあえず何の準備もしないで登録だけしてみたんだけど先には進んでいない」という人は多いようです。まずは、この、転職エージェントに登録するタイミングから錦戸さんに聞いてみましょう。

ベストタイミングは自分で整理ができてから

 「そもそも転職エージェントは、クライアントである企業に人を紹介し、その人が入社すると年収の30%前後を報酬として受け取るといったビジネスモデルで成り立っています。そのため、マッチングしやすい人から引き合わせるのは当然の流れといえるでしょう。ですから、転職に迷いがあったり、やりたいことがよく分からない段階で登録をしても紹介に至らないケースがほとんどです。また、キャリア・チェンジをしたくても、人手不足が著しい仕事でない限り、未経験の仕事を紹介してもらえることは珍しいことです。さらに、迷いの多い状態でアドバイスを受けると、相手の言葉や価値観に左右され、自分らしい転職を見失う可能性もあります。

 以前もお伝えした通り、心と頭を整理し、モヤモヤを解消してから登録するのがベストタイミングです。自分がどうなりたいか、どんなことがしたいのか、得意なことや望む条件などを明確に伝えられるようにしておくと有利ですよ」

 続いて、キャリアコンサルタントとの付き合い方について考えていきます。

 転職エージェントでは、キャリア相談やアドバイスなどのカウンセリングを無料で受けられます。プロの視点から自分のキャリアを見つめなおしてもらうことは、新たな気付きや刺激につながり、有意義な経験になります。

 「ただし、時間をかけて何度も話を聞いてもらったり、本人にとっての最善策をじっくり一緒に探し出すといった、より踏み込んだアドバイスまで期待するのは難しいのが現実。一人にかける時間は、やはり限られてしまいます」

 そこで、錦戸さんが「最善策」として提案するのが、「2種類のキャリアコンサルタントを使い分ける」作戦です。