2種類のキャリアコンサルタントを使い分ける

 「転職に関していうと、転職先をあっせんする転職エージェントのキャリアコンサルタント(以下、転職エージェント)と、転職先をあっせんしないキャリアコンサルタントに分けられます。前者の強みは、なんといっても情報量が豊富なこと。転職市場の最前線に日々触れていますから、実態に沿ったアドバイスや企業の最新情報、全体から見た本人の市場価値など、適切な意見をもらうことができるでしょう。

 それに対し、転職先のあっせんをしないキャリアコンサルタントは個人がお金を支払って利用するため、相談者が最優先のクライアントになる。そのため、相談者のためだけにじっくり時間をかけて、本人の個性や気持ちをくんだコンサルティングをすることが可能です。

 つまり、『転職活動を伴走するパートナーとしてキャリアコンサルタントを利用し、自分のBEとDO、強みを整理してから、転職エージェントを利用して有益な情報や最新事情を得る』のが最も効率がいいといえます。ただ、どちらも受け身の姿勢ではなく、頼り過ぎはNG。目的を持ってうまく活用することが大切です。自分がキ転職エージェントやキャリアコンサルタントに何をしてほしいかが明確であればあるほど、あなたにとっていい転職に結び付く有益な情報が得られるはずです」

どうやっていいキャリアコンサルタントを見極めるか

 自分に合ったキャリアコンサルタントの存在は、転職活動の心強い支えになるはずです。

 では、どうしたらいいキャリアコンサルタントを見極められるのか。注目すべきポイントは、「聞く姿勢」だと錦戸さん。

見極めのポイントは「聞く姿勢」です (C) PIXTA
見極めのポイントは「聞く姿勢」です (C) PIXTA

 まず、転職エージェントのキャリアコンサルタントは、希望の転職先を紹介してくれるかどうかが判断の最低ラインです。そして、具体的な企業の紹介をしてくるときに、その求人のメリットだけでなく、あなたにとってのデメリットもきちんと説明してくれるか。その会社の詳細、現状と方向性の説明ができ、紹介するポジションを取り巻く環境、採用の背景の説明ができるか。さらに書類上の経験だけでなく、あなたの強みを生かせる求人を紹介してくれるか。これらがそろっている人は、優秀なコンサルタントです。

 一方で、仕事をあっせんしないキャリアコンサルタントは、指示するのではなく、その人の話にしっかり耳を傾け、理解し、共に考える。話をする中で、気持ちに寄り添いつつ、あなたのスキル・経験、性格といったいいところをきちんと把握してくれているか。『聞く姿勢』をきちんと持っていることが、一番大切な条件です。 その上で、あなたが自主的に考えることを促しながら、一歩前に進みたくなるようなアドバイスをしてくれるキャリアコンサルタントに出会えたら、この機会だけではなく、定期的あるいは転機が訪れるたびに相談できる相手として、長くお付き合いしていくことをオススメします。

 転職エージェントもキャリアコンサルタントも、信頼できる人に出会えたら、長く付き合っていけるといいですね。これから続くキャリア人生の中で、きっと心強いブレーンになってくれますよ」

 次回は、面接で聞きづらいことを聞く秘訣についてレクチャー。「聞きにくい質問は、あえて投げかけるべき」という錦戸さんが、そのテクニックを教えてくれます。お楽しみに!

文/西尾英子 写真/PIXTA

プロフィール
錦戸かおり
錦戸かおりさん
キャリアカウンセラー。2級キャリア・コンサルティング技能士。国家資格キャリアコンサルタント。正社員の転職を支援するコンサルタントに従事した後、2003年に独立。個人のキャリア・カウンセリングを中心にセミナーや講演、企業での面談を行う。内的キャリア(やりがい、働きがい)重視のカウンセリングを得意とし、長期キャリアのアドバイスが定評。「働く女性が35歳の壁を乗り越えるためのヒント」(河出書房新社)。公式サイト