リスクを引き受けるトップの信念が会社を動かす

―― 考えや価値観が異なる存在を受け入れてこそ、発展があると。

松本 例えば、今議論されている集団的自衛権。あれも賛成もいれば反対もいる。今後、どのように具体的に動くのか、綱引き状態が続いて動かないのか、そら分かりません。しかし、ダイバーシティ推進に関してはね、これは絶対に動く。止められない。なんでかっていうと、それが正しいからですよ。

―― 先ほど、半分以上の経営者がダイバーシティに対して「面従腹背」とおっしゃいましたが、抵抗感を覚えながらも、その必要性や重要性を認識している人は徐々に増えている気がします。

松本 実行になかなか移せないのはリスクが伴うからでしょう。「ダイバーシティを進めたから業績が落ちた」となると経営者は責任を問われる。だから皆さん、やらないんですよ。私にとっての一番大きなリスクもそこなんです。だから結果にこだわる。「カルビーが社外から連れてきた会長さん、ダイバーシティ、ダイバーシティと叫んでたから会社がダメになった」と言われたらあかんから。

―― 松本会長は業績というリスクを真正面から受け入れて、女性活用を推進していらっしゃるわけですね。

松本 ダイバーシティ推進の第一歩は、トップマネジメントの信念だと思います。先ほど、ダイバーシティ推進と業績向上に因果関係があるかどうかは分からないと言いましたけれど、私はきっと関係あると思っています。ダイバーシティは成長のためのエンジン。やっていれば絶対によくなる。それを信じてやっています。

―― 今、各企業の人事は、ダイバーシティ推進のために様々な制度や環境整備に取り組んでいます。成功に導くには、まずトップ(社長や会長)がリスクを堂々と背負って覚悟し、業績にこだわること。その偉業にチャレンジしている1社が、カルビーなのだと痛感しました。

日経DUAL2014年10月15日の編集長インタビュー記事から転載。
ライター/青木典子、撮影/鈴木愛子、編集協力/Integra Software Services


関連リンク
そのほかの「カルビー女性役員の対談」を読む
カルビー 16時に時短退社する女性執行役員の本音

松本晃さんご登壇決定!
日経WOMAN Networkingフォーラム開催


日時:2016年5月21日(土)13:30~20:30(開場13:00)予定
場所:東京ミッドタウン 4F カンファレンス
◆詳細はこちらから→ http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/WOL/16/wnf2016/

■■各界を代表する魅力的な講師陣による講演多数

<講演プログラム>
カルビー 代表取締役会長兼CEO 松本晃さん
ニュースキャスター 安藤優子さん
ライフネット生命保険 代表取締役社長兼COO 岩瀬大輔さん
前ラグビー日本代表 メンタルコーチ 荒木香織さん
プロノバ 代表取締役社長 岡島悦子さん
ボイス・スピーチデザイナー 魚住りえさん
資生堂 顧問 関根近子さん

※19:00~20:30にはネットワーキング・パーティーも!