男社会だけでやっていたら組織は強くなれない

―― 私にも子どもがいますが、子どものための買い物で何を選ぶかは、母親である私が決めますものね。

松本 スーパーに買い物に行くのはたいがい女性。8対2くらいの割合で女性が多い。ただ、これもいずれは5対5になっていきますよ。世の中はすべて「半々」ですよ。ただ、すぐにはならない。時間がかかるでしょう。ダイバーシティだってね、時間がかかりますよ。

―― やはり、時間がかかるのは仕方がないとお考えですか。

松本 皆が一斉に動くということはないですからね。「よーいどん!」と言われてすぐに立ち上がれる人とそうでない人がいる。

―― J&Jでも今のカルビーでも、松本会長のダイバーシティ推進に対して、社内からの反発はあったのですか?

松本 面と向かって反対する人はいませんよ。ただ、「面従腹背」はいます。表向きは従って、内心では抵抗しているというね。いつもそんなもんです。経済界を見てもそうでしょ。政府の施策を受けて、大企業の社長さんや会長さんが「ダイバーシティやらないかん」と言っていますけど、面従腹背の人が半分以上ですよ。

―― 半分以上ですか…気が重くなりますね。

松本 たぶんそうだと思います。当たり前じゃないですか。男は男社会のほうが絶対に楽ですよ。男だけで、しかも気の合う者同士で集まってやっているほうが、そりゃ楽しい。でも、それをやっていたら組織は強くならない。会社はよくならない。