答え合わせをしてみましょう。

問題1の答え

 実際に手元に残る金額は、3.差引支給額です。

 実際に手元に残る金額、いわゆる「手取り」は、総支給額から税金や社会保険料などを差し引いた額になります。差し引くことを「控除」といいます。

 控除されるものには、誰でも差し引かれるもの「法定控除」と、会社の制度や人によって差し引かれるかどうか異なる「その他の控除」があります。

 税金や社会保険料は「法定控除」で、財形貯蓄、社内貯金、会社独自の組合費などは「その他の控除」になります。

 会社からの支給額と、みなさんの手元に残る手取り額は異なりますので注意してくださいね。

問題2の答え

 医療費が3割負担になるために払っているのは、6.健康保険料です。

 日本では、国民全員が何らかの健康保険に加入することが義務付けられています(国民皆保険といいます)。

 会社に勤めている人は、全国健康保険協会(協会けんぽ)や組合管掌健康保険(組合健保)などに加入しています。個人経営の事業所に勤めている場合は、国民健康保険です。どの健康保険も、医療機関に保険証を見せれば、かかった医療費の3割を負担するだけで、全国どこでも平等に医療サービスを受けられます。

 健康保険は、治療をはじめ、治療のための診察や検査に適用されます。美容目的の施術や出産は病気ではないので、健康保険は使えません。また、差額ベッドや食事代、 保険適用外の先進医療 、 人間ドッグ・予防接種など直接治療に該当しない費用も健康保険の適用外になっています。

 健康保険料を毎月計算するのは大変なので、次のようにして決められます。

 4月、5月、6月の3カ月間の給与を平均して、等級表にあてはめて保険料計算の基礎となる「標準報酬月額」を7月に決めます(9月から翌年8月まで適用されます)。これは、社会保険のみなし月収のようなもの。実際の給料とは異なります。この標準報酬月額は50等級に区分されています。

 その標準報酬月額に、一定の保険料率をかけたものを会社とわたしたち従業員が折半で負担します。つまり、会社が健康保険料を半分支払ってくれているのですね。

 保険料率は加入する健康保険によって異なっています。東京都協会けんぽの場合、平成28年度の率は9.96%。標準報酬月額が28万円の人は2万7888円の半分で、1万3944円を給与から天引きされています。

 お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、4月から6月の間、いつもより残業が多く給料を多くもらった場合、保険料が高くなってしまうかもしれません。注意したいところですが、仕事がたまっていればそうもいってられませんよね。割り切って頑張りましょう。

問題3の答え

 入社1年後の6月から引かれるのは、8.住民税です。

 住民税は、前年の所得額に基づいて計算され課税されます。ですので、前年の所得のない新入社員の方は、住民税はかかりません。

 税率は基本的に一律10%です。

 注意が必要なのは、会社を辞めた時です。たとえば転職して給与金額が変わった場合でも、前年の所得額に応じて住民税を支払うことになります。転職して給料が減ってしまうことが分かっている場合、翌年の住民税のお金をあらかじめ用意しておきましょう。

 また、住民税は1月1日現在住んでいる都道府県に納めます。たとえば、1月2日以降に他の市町村に引っ越しをした場合でも、1月1日に住んでいた市町村に前年の1月1日から12月31日までの1年間の住民税を納付することになります。

もう少し詳しく給与明細について見てみましょう。