暗闇にいたからこそ、言えることがある

 ただ一つ、長いトンネルから出られなかった経験した私が伝えたいのは、「不安になるというのは、自分の現実を直視できている証拠。一生懸命に生きている証拠だよ」ということ。

 自分をなんとかしたいという希望があり、努力をしたい人だから、うまくいかない時に不安が生まれるんです。テキトーに生きていたら不安さえ抱かないはずですよね。

「私、現実と向き合って一生懸命に生きてたからあんなに不安だったんだと思います」
「私、現実と向き合って一生懸命に生きてたからあんなに不安だったんだと思います」

 でも、どんなにつらくても潰れちゃったらダメだよとも言いたい。自分を追い込まないための方法をなんとか模索してほしいと思います。

 浮上することができた私が感じているのは、逆境を乗り越えた数だけ、強くなれる。ツルツルの人生だけじゃ手に入れられない強さを、デコボコ人生は与えてくれるってこと。

――自分を追い込んで潰れてしまわない術、身に付けたいものですね。当時の小西さんがやっていてよかったと思えるアクションはありますか?

 そうですね。「素直に人のアドバイスに耳を傾けて、なんでもやってみる」という意識は持っていたと思います。

人のアドバイスのままに、何でもやってみた

 さっき話した自己啓発本しかり、「いいよ」とすすめられたことは取りあえずトライしてみる。合わなければ手放せばよし。効果があればラッキー、くらいの気持ちで。

 あと、いろんな立場の友達に積極的に会おうとしていました。会社のネットワークをあえて離れて、学生時代の友達とか、久しぶりに会う主婦の友達とか。自分が置かれている立場とは異なる状況にいる人に会って、悩みを聞いてもらうと、異なる世界で生きている立場ならではのすごく新鮮な視点で返してくれたりするんですよね。

 ある友達が言ってくれたこんな言葉も印象に残っています。「あのね、美穂ちゃん。キャスターとしてずーっと第一線でやってこられてる女性って、日本に今何人いる? ほんの数人だけでしょ? なれるわけないよ。いいじゃん、なれなくたって。それは全然恥ずかしくないし、今は休憩を与えられたと思って休めばいいよ」。そうか、そういう見方もできるんだと視界が明るくなりました。いつの間にか、自分で自分のハードルを上げていたんだと気付きましたね。

――人の話を積極的に聞くことで、自分磨きにつながって人生が好転したというお話は、以前のインタビュー「 仕事も結婚も 人の話を素直に聞いたらこんなに変わる」でも話してくださいましたね。

 そう。その最初のきっかけとなったのが、トモちゃんとの出会いです。