ウイークデーであれば祝日でも番組は放送されるので、レギュラーの出演者とスタッフは出社します。私もなんとなく出社するけれど、特に何を頼まれるでもなく、時間が過ぎていく。自分の企画のためのリサーチを進めようにも取材先は休みで連絡がつかず、手持ち無沙汰のまま。オンエアが無事に終わるのを見届けて、静かに「お疲れさまでした」と言って帰る。

 あれ? あれ、あれ? このまま私、どうなってしまうんだろう。ふと気付けば、もうすぐ41歳。

私、どうなってしまうんだろうか…と思いながら出勤する毎日
私、どうなってしまうんだろうか…と思いながら出勤する毎日

私にとってのやりがいは「人に必要とされること」なのに

 いつまでも第一線ではいられない、という現実を突き付けられ、「もしかしてこのまま私、必要とされなくなるんじゃないだろうか」という不安が一気に押し寄せてきたんです。

――取材記者として実績のある小西さんにとって、当時の役割はやりがいのよりどころにはならなかったんですか?

 私にとってのやりがいって、「人に必要とされること」なんだと、その時分かりました。人に求められることがやりがいであり、楽しさであり、自信につながっていくんだって。

 居場所を見失った途端、今まで周りにいた仲間とも距離ができてしまった気がして、自分に自信を持てないから「一緒にやろうよ!」と引っ張ることもできない。記者とキャスターの両方のスキルを積んできた自分のキャリアはいい意味ではハイブリッドだと思っていたけれど、結局、中途半端なんだな……とすべてをマイナスに捉えるようになってしまいました。

 今となっては、「興味を持てるテーマをすぐにでも見つけて取材に没頭すればいいじゃない! それがあなたに期待された役目なんだから」と当時の私を励ます言葉が浮かびますが、あまりにも突然、環境が変わると何も考えられなくなってしまうんですね。

――どの業界で働く人にも訪れるピンチだと思います。不本意な異動やプロジェクトの突然の閉鎖など、やりがいをいきなり持っていかれるような経験に戸惑う人は少なくありませんね。

 その気持ち、本当に分かります。「頑張ってきたはずなのに、評価されていなかったのかな、もう必要とされていないのかな」とどつぼにはまりますよね。

 私の場合は30代までずっと仕事だけを支えに生きてきたために、ふと気付くとプライベートも寂しいものになっていて、二重のつらさを味わっていました。