「ヒヤリ・ハット」を防げば、重大なミスの可能性も減らせる!

 「ヒヤリ・ハット」とは、文字通りヒヤッとしたり、ハッとしたりした経験のこと。重大な事故や災害になる一歩手前の発見を指し、医療現場などでは共有することでミス防止に役立てています。

ビジネスパーソンも無視できない「ハインリッヒの法則」

 この「ヒヤリ・ハット」を統計学に基づいて表したのが、「ハインリッヒの法則」。アメリカの損害保険会社に勤めていたハインリッヒ氏が発表したもので、「1件の重大な事故や災害の裏には、29件の軽微なミス、さらに300件の『ヒヤリ・ハット』がある」という理論です。

 つまり、「ヒヤリ・ハット」を防げば軽微な事故や災害は発生せず、重大な事故にまで至らないということ。この考え方は、ビジネスの現場にも当てはまりますね。「見積書のデータを使い回していたら、宛名が他社名になっていた」「Excelの関数入力が間違っていて、数字がデタラメになっていた」といったことも、提出前に気付いて修正すれば大ごとにはなりません。

大切なのは「ヒヤリ・ハット」に気付く環境をつくること

 ミスになる前に「ヒヤリ・ハット」に気付くには、どうするべき? これにはさまざまな方法があるので、いくつかご紹介しましょう。

「自分用マニュアル」や「振り返りノート」に記録

 以前、ご紹介したのが、業務に関わることすべてをまとめた「自分用マニュアル」や、日々の業務を振り返って記録する「振り返りノート」。これらに「ヒヤリ・ハット」を書き添えておけば、次回、その業務に関わる際に気を付けることができます。書くときは目立つように、赤字や吹き出しなどを使いましょう。

■自分用マニュアルの作り方は → 「脱・同じことを何度も聞く人「自分用マニュアル」活用
■振り返りノートの作り方は → 「社会人のノートは『忘れるために書く』ミスゼロ記録法

自分仕様にすれば、ムダも省ける (C) PIXTA
自分仕様にすれば、ムダも省ける (C) PIXTA

チェックリストの項目に加える

 業務に関する確認事項は一つにまとめ、チェックリストにするのが一番。記憶力だけに頼っていては、モレが出てくる可能性が格段にアップするからです。このチェックリストを作る際も、確認事項の欄に今までの「ヒヤリ・ハット」経験に基づいた項目を入れておけば安心。例えば請求書を作る際は、「宛名は合っているか?」「消費税率に間違いはないか?」といった形ですね。

使い回しのデータは変更箇所を目立たせる

 請求書や企画書、あるいはメールなど、データを使い回すのはよくあること。同時に、変更すべき箇所を見落とすことも、決して少なくありません。この場合は、元データの変更すべき箇所を赤字にしたり、塗り潰したりして目立たせるようにしましょう。

隠さずにメンバーと共有する

 ミスを報告することはあっても、ミスの手前となる「ヒヤリ・ハット」は隠したくなるのが本音。でも、メンバー同士で伝え合えば、同じ「ヒヤリ・ハット」を起こす確率も減らせます。報告会を開く、Excelなどでまとめたものを共有フォルダに入れる、日報があるならそこに書くなどして、情報を共有するのがオススメ。