年収500万円でもマンションを買える?

 家賃は高くなったものの安全性は確保され、Dさんは安心して暮らせるようになりました。ただ、せっかくお金を払うなら、自分の資産にしたい。それがDさんが家を買いたい理由でした。

 Dさんの希望する「都内でワンルームか1Kタイプ、オートロック、防犯カメラつき」の中古マンションの物件の価格は、ほとんどが1500万円〜3000万円台までです。そこで、3000万円を現在の金利水準で借り入れるとすると、月々の返済額は約8.7万円になります(※)。

※フラット35、全期間固定1.19%、借入期間35年、ボーナス払いなし、元利均等返済、融資手数料借入金額×2.16%、保証料なし、団体信用生命保険料込みの場合

 マンションに住む場合、住宅ローンとは別に、修繕積立金と管理費もかかります。Dさんが希望するセキュリティが充実したマンションの事例を見てみると、築年数などの条件にもよりますが、およそ月に1万~2万円ほどのコストがかかります。

 仮に3000万円のマンションを全額ローンで買ったと想定すると、毎月の住居費は、住宅ローンの返済額とコストの合計でおよそ10〜11万円。頭金を入れて借入額を小さくすれば、住宅ローンの返済額はより小さくなります(実際には、物件価格の2割以上の頭金を入れるのが望ましいです)。そう考えると、現在の家賃9.7万円を払い続けるよりは、「さほど変わらない住居費で自分の家を手に入れる方がお得なのでは?」と思うのも自然なことです。

 ところで、住宅を購入するときには、住宅ローンを無理なく返済していけるかどうかが重要です。その判断材料の一つとして確認しておきたいのが「返済負担率」です。返済負担率は、年収に占める住宅ローンの年間返済額の比率のことで、25%までが目安といわれています。

 Dさんの場合、手取り年収が500万円ですから、その25%である125万円まで、月にすると10.4万円までが、住宅ローンの返済に充てられる金額ということになります。先述のように、借入額が3000万円なら月々の返済は約8.7万円ですから、返済負担率の面では負担は大きすぎないといえます。

 なお、住宅ローンの借入額や、住宅の資金計画は、ひとりひとりの家計、貯蓄の状況、ライフプランによっても判断が異なります。例えば日本FP協会の「くらしとお金のワークブック」には、住宅購入にまつわるお金の解説や、ご自身のケースで検討するためのワークシートが掲載されています。参考にしてみてはいかがでしょうか。