今日3月8日は国際女性デー。特集「女性に生まれて、よかった?」4回目は精神科医の水島広子さんにお話を伺います。私たち女性は「若さ」や「年齢」にとらわれてしまいがち。あなたも「私もうオバサンだし~」なんてつい言ってしまうこともあるのでは? それは「女性は若いほうがよい」といった風潮がそうさせているのかもしれません。

水島広子さん

精神科医、元衆議院議員。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本改正などに取り組む。主な著書に10万部を超えるヒットとなった「女子の人間関係」(サンクチュアリ出版)、「女に生まれてよかった。と心から思える本」(朝日新聞出版)などがある。

どうしたら「女性に生まれて、よかった」と思えるようになりますか?

 2015年に成立した「女性活躍推進法」をはじめ、2017年から世界で広がった、性的被害に泣き寝入りしない「#Me Too」運動など、女性を取り巻く環境は大きく変わろうとしています。

 でも、大きな潮流の中で、ふと自分を見つめ直したとき、まだまだ生きづらさを抱えていませんか。特に日本の女性は「若さ」「年齢」対して過敏になっているように思います。JK(女子高生)やJD(女子大生)、美魔女にBBA……「女性の年齢」にまつわる呼び名が、こんなにもたくさんあるのは、日本だけかもしれません。

 中でも「オバサン」という単語に反応してしまう人は、特に多いのでは? または、自ら「私、もうオバサンだから」と言っていませんか? 

 女性は「商品」ではありません。だから「劣化」もしないし、「売れ残り」なんて言葉はもってのほか。でも……。一つ年を重ねるたびに、鏡を見た瞬間に老いを感じるたびに、自分の価値が目減りしていくような感覚におそわれる。水島さん、どうしたら私達は「年齢」を気にせず、堂々と年を重ね「女性に生まれて、よかった」と思えるようになるのでしょうか?

客観的に見てみること

 「まず、『若さ』は『若さでしかない』と冷静に捉えましょう。そして年を取ることは『若さの喪失』ではなく、『熟年への変化』です。確かに若いということは生物学的に力があり、10代、20代の外見上は最も美しい時。でも、経験値が浅い分、極端な考え方に走りがちです。20代の知識のまま一生を過ごすとしたら、つまらない人生だと思いませんか? 年を重ねたほうが知識や教養が深まり、得るものも大きい。『若さは世にあふれている価値観の一つ』と客観的に見てみると、楽になりますよ」(水島さん)

 また、水島さんは「年を取ると人間的に角が取れ、丸くなるのも喜ばしい変化」だと言います。ささいなことに怒らなくなる、人を許せるようになる、ちょっとしたことにも感謝の気持ちが持てる……。もしかしたら読者の皆さんもそうした変化を感じているかもしれませんね。

 「実は私自身もこんなに角が取れて、豆腐のようにやわらかくなるとは思っていませんでした(笑)今はもう若い人が『オバサンになったら女性は終わり』と年齢にこだわる姿すら、愛しい。その人はまだ若くて、『今が一番』という価値観しか持たないから、この先はお化け屋敷みたいに怖い場所だと思うのも仕方がないんですよ。でも、年を重ねた私はお化け屋敷じゃなくて、お花畑が広がっていると分かります」(水島さん)

 確かに若さに「とらわれたくない」と思いつつ、誰よりも「執着」しているのは、自分自身なのかもしれません。