3月8日は国際女性デー。苦難を乗り越え、権利を勝ち取ってきた女性をたたえる日として、1975年に国連で定められた記念日です。日経ウーマンオンラインでは、特集「女性に生まれて、よかった?」として、女性である自分を好きになれるようなインタビューやイベントレポートをお届けしていきます。フォトグラファーのヨシダナギさんのインタビュー、「引き籠もり少女が写真家として羽ばたく」に続く後編をお届けします。

 アフリカの少数民族の魅力を伝える作品で知られるフォトグラファー、ヨシダナギさん(31歳)。人と接するのが苦手だったが、アフリカの女性に愛情表現の仕方を学んだという。現地のコミュニティーに入り込むには、女性ならではの大きなメリットがあるというヨシダさんにアフリカのこと、女性であることや仕事について話を聞いた。

――現地を訪れたからこそ見えたアフリカのよさについて教えてください。

 アフリカの人たちはすごく愛情深くて、みんな明るいんです。誰に対してもすごくウエルカムで、最初は閉鎖的だったりもしますけど、家族も友達も分け隔てがまるでなく愛情が均等なんです。私のことも受け入れてくれて、一緒にいてすごく心地がいい。反面、裏切りもあるんですよ。身近にいる人ほど、ある日簡単に裏切ったりするんです。お金のこととか、ああ、こんなに手のひらを返すんだと一気に絶望したり。

 それと死が私たちに比べずっと身近にあるので、ある意味ドライな部分もあります。病気だったりよく分からない事故だったりで簡単に人が死んでいく。みんなそこで泣き崩れて、この世の終わりというぐらい落ち込むんですけど、でも、翌日には歌って笑って踊っているんです。その切り替えの早さには私はいまだに付いて行けないんですけど。でも、死が身近だからこそずっと落ち込んでいられなくて、切り替えていかないと生きていけない。タフと言っていいのかは分からないんですが、ああ、これがアフリカなんだなと。彼らを見ていると、人間というものの原点を肌で感じます。

――アフリカの女性は、日本の女性とは違いますか。

 アフリカの女性を見ていると、強いな、と思います。少数民族になると男女の権力の差がすごくあって、基本的には女性の立場がとても弱い。でも、男たちも結局女性から生まれてくるわけで、女性が育てて、彼女たちが村で仕事をしているからこそ日々の生活が支えられている部分がすごくあって。何かがあったとき子どもが頼るのは母親ですし。アフリカの女性って心が広くてパワフルだなと思います。

 言葉に説得力があるというか。言葉に説得力があるというよりも、アフリカ人のお母さんがハグしてくれただけで、言葉が通じなくても伝わってくるものがある。

 日本人は隣に住んでいる人が誰か知らないと話すと、「信じられない」とよく言われるんですけど。アフリカ人は少しでも仲良くなったら家族のようになる。私にはエチオピアで少し世話をしている少年がいるんですが、その家族も私が行くと涙を流して喜んでくれるんです。「よく帰って来たね。昨年、来なかったからもう会えないかと思ったよ。でも待ってたんだよ」と言われたりして。待ってくれている人がいるって、すごくうれしくて。

 そのお母さんからハグされた時、最初すごく戸惑ったんですよ。日本にはハグの文化がないじゃないですか。だから、仲良くなってから「なんでナギは最初ハグをしてくれなかったの?」って言われた時に、日本にはハグの文化がなくて照れ臭かったという話をしたら、「あなたはどうやってお母さんから愛情を受けてきたの? チューはしないの? 愛してるって言わないの?」って立て続けに疑問を投げかけられて。「そういうことはやらないし、言わない」と言ったら、「ああ、かわいそうね」って。

 日本の愛情の表現の仕方もそれなりに分かるんですけど、彼らの愛情表現ってすごく分かりやすくて。それを素直に受けていいんだなって思えた。へんに照れることも恥ずかしがる必要もない。逆に自分も同じように伝えてあげないと彼らには伝わらない。思っているだけじゃダメなんだって、愛情の伝え方、表現の仕方を彼らに教えてもらいました。

アフリカ北部に住むアファール族の撮影に挑むヨシダさん (C) nagi yoshida