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女性に生まれて、よかった?

引き籠もり少女が写真家として羽ばたく―ヨシダナギ

2018年3月7日

アフリカの少数民族の魅力を伝える

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 3月8日は国際女性デー。苦難を乗り越え、権利を勝ち取ってきた女性をたたえる日として、1975年に国連で定められた記念日です。日経ウーマンオンラインでは、特集「女性に生まれて、よかった?」として、女性である自分を好きになれるようなインタビューやイベントレポートをお届けしていきます。今回は、フォトグラファーのヨシダナギさんにお話を伺ってきました。

 ヨシダナギさん、31歳。裸で暮らすアフリカの少数民族の村で、現地の女性と同じ格好をすることで彼らの懐に入り、その魅力を存分に伝える作品を生み出していることで知られる異色フォトグラファー(写真家)だ。行動的でたくましい女性だと思いきや、実は10代は引き籠もりで、いまだ人付き合いは苦手だという。不器用だったからこそ一歩一歩切り開いてきた、これまでの歩みについて伺った。

ヨシダ ナギ
1986年生まれ、フォトグラファー。独学で写真を学び2009年単身アフリカへ渡航、少数民族の撮影を開始。唯一無二の色彩と直感的な生き方が評価され、2017年には「日経ビジネス」誌で「次代を創る100人」、「Pen」誌の「Pen クリエイター・アワード 2017」に選出される。同年、著書「ヨシダ、裸でアフリカをゆく」(扶桑社)、「SURI COLLECTION」(いろは出版)が講談社出版文化賞・写真賞を受賞。3月15日には自身の仕事術・人生論をまとめた「ヨシダナギの拾われる力」(CCCメディアハウス)、4月25日にはBEST作品集「HEROES」(ライツ社)を上梓予定。ホームページはhttp://nagi-yoshida.com/

――5歳の時、テレビ番組でアフリカの少数民族であるマサイ族を見て以来、「アフリカ人になる」ことが夢だったそうですが、どんなところに引きつけられたのですか。

 私が魅了されたのは、マサイ族のフォルムでした。黒い肌に白い歯、頭が丸くて筋肉質な彼らの姿を見て、なんて美しいフォルムなのだろうと思って。セーラームーンがかわいいとかカッコいいのと同じ感覚で、マサイ族の人たちが、それまで見た何よりもカッコいいと思ったんです。それ以前に特に何かに興味を持ったことはなかったんですが、「こんな人たちがいるんだ」と衝撃を受け、「私も、将来アフリカ人になりたい」と思いました。

 それで10歳の時、母に「私はいつ肌の色が黒くなるの?」と聞いたんです。その時まで私は、人はどこかのタイミングで肌の色を変える機会が来るんだと思っていて。役所の人が黒、黄、白と3つのボタンを持って来て、希望のボタンを押したら肌の色が変えられるんだと。でも、母から「生まれ持った肌の色は変わらないんだよ」と教えられ、すごくショックでした。

 いつか憧れの彼らに会いたいと思うようになりました。ただ、アフリカって遠いし、英語もできないし、お金もかかるし、非現実的だという思いもあって。年がら年中アフリカのことばかり考えていたわけではないのですが、長い間、テレビ番組などのアフリカ特集を見ては、ああ、やっぱりいいな、行きたいなって思い出しては諦めるの繰り返しでした。

――ヨシダさんが中学2年生の時、ご両親が離婚され引き籠もりになった。

 両親が離婚した時は、絶望に近い感情を抱いていました。

 離婚自体は親が決めたことだし、もちろん寂しかったけれど、親の人生に子どもがあれこれ言うのはかわいそうだし、親が幸せなほうがいいかなとも思いました。だけど、当時は性格が暗く、小学4年生で引っ越しをして以来、学校で陰湿ないじめをずっと受けていたりして。それを支えてくれていた母が離婚で家を出て行ってしまったので、後押ししてくれる人がいなくなり学校に行かなくなりました。歯止めをかけてくれる母がいなくなったので性格がどんどん暗くなって、生きている意味あるのかな、生きていても嫌なことばっかりじゃんって。未来に希望を持てなくなっていた。

 それで、自殺未遂みたいなものもしたんですが、死ねなかったんですよ。いつも中途半端な感じで死ねなくて。何回もやって死ねなかった時に、ああ、こうやって私はだらだら生かされていくんだ。すっぱり死ねるタイプじゃないんだと気付いて。それで、死ねないんだったら苦しみ続けるしかないなと諦めながら生きてきたら、21歳で一人暮らしを始めてから性格が少しずつ変わってすごく毎日が楽しくなったんです。それまでは父の機嫌をうかがっていたりしたんですが、実家を出てすごく自由になれた。

 例えば、掃除機をかけなかったら、部屋にホコリがたまっていったんですね。私しかいないのに、なんでこんなにホコリがたまるんだろうって不思議で面白かったり。洗濯物は柔軟剤で洗えると思っていたんですけど、それでは汚れが落ちないことを知ったりとか。あと、食器を原色で固めたんですが、青い食器に好きな食べ物を入れたらすごくまずそうに見えたんです。そんなことも知らなかったので、家にいるだけでこんなに楽しい世界ってあったんだって気が付いた。そうしたら、思考回路がネガティブなほうにいかなくなって。

 幸せのハードルもすごく下がったんです。それまでは、漠然と「成功したら幸せ」というようなイメージがあったんですけど、そうじゃなくて、日々ちょっとした楽しさで生きることが幸せになったら、毎日がとても楽になりました。

 なにしろ、中卒なのでコンビニエンスストアのアルバイトもできなかったんですよ。応募要項に「高卒以上」って書いてあるんです。私はそこにも達していないんだとネガティブに考えていたんですが、一人暮らしを始めたら、私なりの幸せもちゃんとあるんだな、世間一般の型にはまる必要はないんだなと思えました。

初めてアフリカを訪れた2009年から14年までのブログをベースに、アフリカの旅を赤裸々につづった著書「ヨシダ、裸でアフリカをゆく」(扶桑社) 写真/スタジオキャスパー

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