コツコツ頑張る新人をペップトークで承認しよう

◆ケース3:言われたことしかやらない新人に積極的になってほしいとき

 この場合は、(1)受容にフォーカスした言い方がいいでしょう。まずは「(あなたは)言われた仕事をしっかりやっていると思う」と受け止めます。その上で、プラスαの仕事をしてほしいこと、それが相手の成長にどうつながるのか、を伝えるのです。例えば、こんな言い方ができます。

「仕事には、期待通りの仕事と期待以上の仕事の2種類があると思うんだ。今回は期待通りの仕事をしてくれたけど、あなたの能力をさらに引き出せて、お客さんに喜んでもらうことにつながるのは、期待以上の仕事をすることだよ。相手の期待以上の仕事をすると本当に喜ばれるから、いい意味で期待を裏切ってみようよ」

◆ケース4:目立った成果は出していないが頑張っている新人に声を掛けたいとき

 新人に限らず、人は自分のことを認めてもらえるとうれしいものです。この「承認」には、大きく3つのレベルがあります。その人が残した「結果」を承認する場合、その人の「行動」を承認する場合、そして、その人自身の「存在」を承認する場合です。

「行動」「結果」を支えている土台は「存在」。結果を出していない新人でも、存在を承認することができます
「行動」「結果」を支えている土台は「存在」。結果を出していない新人でも、存在を承認することができます

 結果や行動は目に見えるので分かりやすいですが、新人の場合はまだ大きな仕事を担当していないことも多いですよね。そこで、普段の行動から相手のいいところを探して、それを伝えてみてください。

「毎朝ちゃんと始業10分前に来ているね」
「いつもしっかり返事してくれるね」
「話を真剣に聞いてくれるね」
「◯◯さんて、いつも笑顔だよね」

 仕事に直接関係なくても、言われたらうれしいことはたくさんあります。「一緒に仕事ができてうれしい」「あなたがこの部署に入ってくれてうれしいよ」という歓迎を表す言葉も、シンプルに相手の存在を認めることができるペップトークです。

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 今回は、職場での具体的な場面に合わせて、ペップトークの技術を応用した話し方を聞きました。次回は、ペップトークをするときの注意点についてお話しいただきます。

文/飯田樹 写真/PIXTA

<この人に聞きました>
浦上大輔
浦上大輔(うらかみ・だいすけ)さん
一般財団法人日本ペップトーク普及協会専務理事。一般社団法人日本朝礼協会理事。北海道大学で運動生理学(健康体育科学修士)、理学療法学を学び、運動指導のスペシャリストとして、学校体育、リハビリ医療、高齢者介護の現場で活躍。現在は人をやる気にさせるペップトークの講演・研修を企業、学校、医療・介護、行政、各種団体で行う。著書に「たった1分で相手をやる気にさせる話術ペップトーク」(フォレスト出版)がある。