電話を取らない新人を促すには?

 それでは、具体的な職場でのケースに合わせて、ペップトークの技術を使った後輩への話し方を紹介しましょう。

◆ケース1:なかなか電話を取らない新人に電話を取ってほしいとき

 前回お伝えしたように、ペップトークの基本形は4つのステップでできています。

(1)受容:相手に寄り添う
(2)承認:マイナスをプラスに転換する
(3)行動:「してほしいこと」を伝える
(4)激励:最後に背中を押す

 このケースでは、上記の4ステップに沿って声を掛けてみましょう。

なかなか電話を取らない新人に、あなたなら何と言う? (C) PIXTA
なかなか電話を取らない新人に、あなたなら何と言う? (C) PIXTA

 まずは(1)受容。「電話を取るのは勇気がいるよね」「私も最初に電話を取りなさいと言われた時は嫌だったんだ」など、相手の気持ちを受け止めます。

 続いて(2)承認です。電話を取ることの意味付けを変えないと、イヤイヤ電話を取ることになってしまいます。「電話を取ることで、早く仕事を覚えられるよ」「電話対応は会社の印象を決める大事な仕事だから、これができるとあなたの印象がよくなるよ」「どんな取引先の方がいるか知るいい機会になるよ」など、電話を取るということを、プラスに捉え直してもらいます。

 そして(3)行動では、指示を伝えます。「勇気を持って取ってみよう」と言うこともできますし、「不安があるなら、一緒に練習してみよう」と、練習を提案することもできます。

 最後の(4)激励では、「私もサポートするよ」と、見守っていることを伝えましょう。

◆ケース2:チームでの大事な仕事の前に体調管理を促すとき

×「一人でも休むと大変なんだよ。風邪引かないでね」

○「このプロジェクトはみんなで成功させたいんだ。だからいいコンディションで臨めるように、しっかり食事と睡眠を取ろうね」

 「風邪引かないようにね」と無意識に言ってしまいそうになりますが、これでは「風邪を引く」というネガティブなイメージがついてしまいます。また、せっかくチームで大事な仕事に取り掛かるのですから、新人にもチームの一員として期待していることを伝えたいですよね。そのためには、「みんなで成功させたい」という目的から伝えるのがいいでしょう。ネガティブからポジティブへの変換を使った言い方です。