同僚の英語力にがくぜん、ゼロから英語力を鍛えることに

――実際に営業を経験してみて、「抱いていたイメージと違う」と思った点はありましたか?

 「営業は体力勝負という印象がありましたが、そうではないんだなと思いました。常に予算や利益率のことを考えなければならず、意外と事務作業も多い。頭を使う業務が多いため、たまに行く出張が、とてもいい息抜きになっています。

 また、ノルマがキツイという印象もありましたが、今の仕事では、やるべきことをやった上で達成できなければ、責められるようなことはありません。数字力や法務の知識、商品に関しても開発者並みの知識が求められますが、その分、課題をクリアするごとに自分の成長を感じることができるので、やりがいがあると感じています」

――取引先は海外で、そのほとんどが英語でのメール対応だとお聞きしました。英語力は、どうやって培ったのでしょうか。

 「実は転職した当時は、英語力は落ちていました。実は、7年前に取ったTOEIC L&Rテストのスコア(700点)を履歴書に書いたら、採用されたんです(笑)。

 そんな状態だったので、入社してから同僚の英語のメールを見てがくぜん。『今の自分の実力ではマズイ!』ということが分かり、そこから英会話教室に入学しました。そして最初のうちは週2回、慣れてきてからは週1回ほど英会話学校に通っています。転職して1年たった頃には、1週間ほどカナダに語学留学にも行ってきました。

 『事務職に戻ったら、いつかAIに取って代わられる』という危機感もあるので、今でも英会話の予習復習は欠かせませんね」

――メールでの交渉は、対面のように「空気」や「雰囲気」で意思の疎通を図ることができないので、とても難しいと思います。しかも、それが英語だとなおさらです。顔が見えないコミュニケーションをするに当たって、注意していることはありますか?

 「スペルや文法に誤りがないかは、送信前に何重にもチェックをします。そういうところで人間性を見る人や地域もあるので、『信頼できる人』という認識を持ってもらえるように、間違いがない文面を心掛けていますね。

 もちろん、返信は1日以内に。文末に『よい一日を』というような簡単な挨拶を入れたりはしますが、文章が長いと海外の方には読んでもらえないこともあるので、伝える内容は必要最低限のものに絞り込んでいます。

 また、海外とのやり取りでは、日本人の感覚では通用しないこともあります。以前、お客様へ注文の締め切りを案内したのですが、特に音沙汰がなかったため、『今回は注文がないんだな』と思っていたら、締め切り後に受注が入ったことがありました。

 この時は、製品を作る工場の方に平謝りをして、何とか対応してもらうことに。以降、メールを投げたら投げっ放しにしないように、締め切り前にOutlookでアラートが出るように設定し、最終注文の有無を確認するようにしています」