20代にはバイブルとなるが…

 6割の女性が倫子に共感する一方で、自分は「タラレバ娘」にはなりたくないと思う人も57.9%もいました。特に20代の女性は「自分はこうならないように行動していこう」と人生のバイブルとしてとらえている人もいました。

昔別れた元彼を振らなきゃよかったという気持ちになりました。漠然と結婚できると思っている自分をぶん殴りました(26歳、商社・卸・流通・小売り、経理)

漠然と、自分は年齢を重ねても魅力的なままだし、今彼氏がいなくてもその気になればいつでもつくれると思っていましたが、その幻想が幻想だということに気付かされました(26歳、商社・卸・流通・小売り、営業事務)

恋愛もキャリアもこじらせ始めた自分を見ているようで、悲しくも仲間を見ている安心感のようなものを感じました。これから迎える30代を自分なりに”幸せ”にしてく参考書を読んでいるようです(28歳、その他サービス、接客)

胸に突き刺さる言葉が多く、女子会ばっかりしてる場合じゃない・・・・・・と深く落ち込むと同時に、20代のうちに婚活を思い切りしよう! と気合いが入ります(28歳、建設・不動産、秘書)

辛くなるけど、現実を見ないといけないから漫画を読み進めるのが楽しいです。アラサー女子だけでなく全ての人の人生のバイブルだと思います(29歳、IT・通信、SE)

30代には切実

 一方、30歳を過ぎた人は「ゆっくり? してる時間は ない」(倫子のセリフ/7巻)と感じる人が多く、30代のタラレバ娘たちのコメントからは、切羽詰まった様子がありありと浮かんできました。

理想を下げても結婚しなきゃ、行動しなきゃ、と思えた作品です(33歳、その他サービス、営業事務)

自分の行動を見つめ、ぐだぐだしてる時間はないってリアルを感じました(34歳、その他サービス、人事)

 なお、「合コン前に読んだら相当、心を乱された」という意見もありましたので、漫画を読むタイミングには十分注意することが必要そうです。

 大共感の声が多く届いた一方で、倫子たちの苦しむ姿に違和感を持つ人もいます。

彼がいるから、結婚してるから幸せとは限らないし、きちんと仕事もあるのだから、もっと自信を持てばいいのに(35歳、製造業、秘書)

結婚願望のない自分にとっては、結婚というものになぜそこまで必死になるのかと感じました(31歳、IT・通信、専門職)

 また、反面教師にされている倫子たちですが、83.1%の人は「なんだかんだ倫子たちも幸せだと思う」と回答しました。特に香、小雪との固い友情には「うらやましい」という声も。

仕事も恋愛も何でも相談できるこの3人の絆にはうらやましいと感じる人多数(C)東村アキコ/講談社
仕事も恋愛も何でも相談できるこの3人の絆にはうらやましいと感じる人多数(C)東村アキコ/講談社

実際の33歳ってもっと可処分所得が少ないイメージだけど、3人ともお金も自由もあってうらやましい(28歳、クリエイティブ系、専門職)

「女子」という一種の呪いに縛られているのがつらいけれど、主人公たちが仲良しなのが救い(27歳、製造業、マーケティング)

自分に比べたら、彼女らは全然崖っぷちに見えない。むしろ恵まれていると思いました(36歳、建設・不動産、経理)

 売れっ子でないとはいえ、脚本家という自分の好きなことを仕事にし、経済的にもかなり余裕のありそうな倫子。「恋も仕事も上手くいかないアラサー女の使えるモノは貯金だけ」と作中でもぼやいていますが、リアルな社会では、33歳でそこまで言い切れる人はそう多くないのかもしれません。

 また、本命でないとはいえ「誰かしら遊ぶ相手(男)がいて幸せじゃん!」「私たちより男との出会いがたくさんある」という本音も。

 次回は、漫画『東京タラレバ娘』の中で、読者が選んだ傷つき&励ましの名言をお届けします。

文/二川 智南美(かみゆ) 看板、記事画像/(C)東村アキコ/講談社