契約の内容をしっかりと把握しておくことは、入居中や退去時のトラブル回避につながります。そこで今回は、ハウスメイトパートナーズの谷尚子さんに、契約時に押さえておきたいポイントを伺いました。騒音トラブルへの対処法なども伝授するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。

初期費用を安くするには閑散期の引っ越しが狙い目

敷金や礼金などの「初期費用」も比較しながら、引越しを検討してみて (C)PIXTA
敷金や礼金などの「初期費用」も比較しながら、引越しを検討してみて (C)PIXTA

 引っ越しには、たくさんのお金がかかるイメージがありませんか? 「新しい部屋に引っ越したい!」と思っても、敷金や礼金、仲介手数料、家賃、火災保険料などの「初期費用」がネックになって、なかなか踏み出せない人も多いと思います。

 しかし現在では、敷金や礼金がない物件や、入居後に一定期間賃料の発生しない「フリーレント物件」も増えていると、ハウスメイトパートナーズの谷尚子さんは言います。

 「今は空室が増えたこともあり、できるだけ初期費用を抑えている物件もあります。敷金は、家賃滞納のリスクや、入居者が部屋を汚したり傷つけたりした場合に備えて、貸主に『保証金』として預けるお金。礼金は、部屋を貸してくれた貸主に、感謝の意味を込めた『お礼のためのお金』なので、どちらもゼロか、もしくは敷金のみ1カ月分という物件も増えてきています。最近では、1カ月~2カ月分の賃料が無料となるフリーレント物件もあるので、この場合も初期費用の負担は少なくて済みますね」

 そして、実はいつ探すかによっても、費用面での負担が変わることもあるんだとか。というのも、3月・4月・9月・10月の繁忙期であれば、進学や就職、転勤などの事情で部屋を借りたい人がたくさんいるため、敷金や礼金などを下げなくても契約が決まることが多いんだそう。一方、5月~8月と11月・12月などの閑散期には、空室解消のために敷金や礼金を下げたり、フリーレントを付けたりする場合があるそうです。

 もしも急ぎの引っ越しでない場合は、閑散期を狙ってじっくりと部屋探しをしてみるのも手。できるだけ初期費用を抑えて賢く引っ越しができるように、敷金や礼金などの金額も比較しながら検討してみるといいですね。

敷金の清算方法は、契約時にしっかりと把握を

 ただし、敷金がゼロの物件を探して契約をしても、退去時には原状回復にかかる費用の清算が必要です。

 「敷金がゼロの場合でも、退去後の部屋のクリーニング代は、入居者の負担になるという契約は多いです。そのため、たとえきれいに住んでいたとしても、入居時に敷金を払っていなければ、クリーニング代の支払いが必要なケースもあります。また、故意の過失と判断されるような汚れや損傷は、入居者が費用を負担して修復する契約がほとんど。契約書にサインをするときには、退去時にどれくらいの費用負担があるのか、事前に確認しておきましょう」

 一方で、敷金を払っている場合でも、そのお金が退去時に返ってくるかどうかは、入居中の生活次第と言えます。きれいに使っていれば返ってくる可能性はありますが、そうでない場合は、逆に支払いが発生するパターンもあるんだとか。

 「実は、女性でも驚くほど部屋を汚く使われる方もいらっしゃいます。本人の身なりはきちんとしているのですが、ドアを開ければ、いわゆる『汚部屋』のような状態。長年掃除を怠っていたり、ゴミを残したまま退去されたりする方もいて、そういう場合にはクリーニングでも取れないカビや汚れや傷が発生していることが多く、退去時に原状回復費用を請求することもあります。これほど汚い状態ではなくても、契約上、入居者の負担となっている汚れや傷は、退去の際に清算が必要です。退去時のトラブルを避けるためにも、どんな場合に支払いが発生するのかは、契約時に必ずチェックしておきましょう」

 貸主や管理会社としても、部屋をきれいに使ってくれたほうがうれしいはず。数年後に気持ちよく退去するためにも、こまめに掃除してきれいに住むことを心掛けたいですね。