こんにちは、著述・翻訳家の上野陽子です。英国王室では、4月にウィリアム王子とキャサリン妃の間に第3子のルイ王子が誕生。5月19日にはヘンリー王子と女優メーガン・マークルさんの挙式があるなど慶事が続いています。今回はエリザベス女王をはじめ、近年英国王室に嫁いだ女性たちの、王子との出会いや人物像などをおさらいしましょう。

「王冠を賭けた恋」事件と、26歳で即位したエリザベス女王

 エリザベス2世は1952年に26歳で即位。以来、英国の女王として国を治めてきました。英国王室公式サイトには「エリザベス女王は歴史上最も長く在位している君主であり、公務と慈善活動に重きを置いている」とあり、ロイターによると「同国元首の中で歴代1位の人気」だそうです。

 女王の装いはビビッドカラーも多くて色鮮やか。王室のサイトに並ぶ家族との写真は、品があってみんなが美しく、背景のお城や衛兵などと相まって、まるで映画のメイキング写真のようです。

 エリザベス2世が即位する以前に、英国王室には有名なドラマがありました。それは……伯父に当たるエドワード8世が、離婚歴がある一般市民の米国人女性と恋に落ちたこと。しかも、女性はまだ2度目の結婚をしている状態でした。それでも独身のエドワード8世は王位を捨てて彼女と結婚することを選び、わずか325日で未戴冠のまま王位から退いてしまいます。

記憶に語り継がれる、ドラマティックな王室の恋と結婚 (C)PIXTA
記憶に語り継がれる、ドラマティックな王室の恋と結婚 (C)PIXTA

 戦前のドラマティックな「王冠を賭けた恋」事件は、今でも語られるストーリー。チャールズ大公をはじめ、英国王室のどこか奔放な恋愛気質が垣間見られる出来事だったのではないでしょうか。今回のメ―ガン・マークルさんが王子の恋人として登場した際、“離婚歴のある米国人女性”という点も「王冠を賭けた恋」事件を彷彿とさせました。

 さて、この事件を受けて、エリザベス2世の父であり、映画「英国王のスピーチ」でも知られるジョージ6世が、押し付けられたような形で王位につくことになります。ところが、ジョージ6世が在位した1936~1952年は、第二次世界大戦から終戦後にかけての混沌とした時代。突如、王となり戦争時代を駆け抜けたジョージ6世は、56歳で他界してしまいます。

 これを受けてエリザベスは、26歳という若さで女王の座につくことになるわけです。