こんにちは。著述・翻訳家の上野陽子です。最近「4人に1人が独身時代」「2035年には人口の半分が独身」といった報道をよく目にします。生き方のバリエーションが増えて、結婚への考え方も多様化。そんな中で、私たち日本と海外の結婚観について考えていきましょう。

25歳から34歳の未婚の割合は?

 「生涯未婚率」って聞いたことがありますか? これは、50歳までに結婚しない人たちの、全人口に対する比率のこと。日本では、2035年にこの生涯未婚率が男性でおよそ4人に1人、女性で7人に1人になるとされています(※注1)

 例えば2015年の国勢調査(※注2)を見ると、25歳~34歳の独身割合は、男性で59%、女性では47%。約半分ほどが独身。国勢調査がスタートした大正から昭和にかけては、未婚率が5%を超えることはないほど、「みんなが結婚していた日本」は、大きく変わってきています。

 「25を過ぎたら売れ残りのクリスマスケーキ」なんて言われたのは、はるか昔の昭和の話。今や30歳で独身だって普通のことで、結婚をしなくたって立派にやっている人たちが数多くいるんです。

※注1 国立社会保障・人口問題研究所が2017年に出した人口統計資料集
※注2 総務省統計局2015年国勢調査 結婚―結婚・共働きの状況は?―

ずっと一人で過ごしている人が増えています (C)PIXTA
ずっと一人で過ごしている人が増えています (C)PIXTA

 一緒に遊びに行く仲間もいれば、周りの目も以前ほどは厳しくもない。個人の価値観が重視されて、ライフスタイルも多様化。結婚に対する考え方だって、みんなそれぞれに自由だから、結婚をしない生き方だって尊重されていいはず。一人でいることは、今までほど肩身が狭くはなさそうです。

 翻ってアメリカも見てみましょう。アメリカ労働統計局のデータ(※注3)では、29歳の独身率はおよそ4割。同棲するカップルも含めると6割近くが独身となっています。日本ばかりではなく、世界的にも結婚しない人が増える傾向にあるようですね。

※注3 Bureau of Labor Statistics, America's Young Adults at 29: Labor Market Activity, Education and Partner Status: Results from a Longitudinal Survey,2016


「一生独身かも」と考え始める時期は?

 こうした時代背景の中、メットライフ生命保険が、20~40代の働く未婚女性600人に対して「一生独身かもと考えたことはありますか」「もし考えたことがあれば、考え始めたのはいつですか」と聞いた調査がありました(※注4)

 それによると82.5%の人が「考えたことがある」と回答するなど、8割以上の人が一生独身の可能性を考えたことがあるようです。考え始めた時期は約2割の人が30~34歳の時期。これは、女性が出産のリミットを意識し始める時期が影響しているのかもしれませんね。

 こうした独身や晩婚化の理由が、男性と女性では大きく違います。内閣府の調べでは(※注5)、男性では「経済的な余裕がない」ことが挙げられ、女性では「独身の自由さや気楽さを失いたくない」という人が半数以上を占めていました。

 もちろん出会いがなかったり、タイミングが合わなかったりといったこともあるかもしれません。でも、経済的な事情で結婚に踏み切れない男性に比べて、女性のほうがどちらかといえば「前向きな気持ち」で一人でいることが多そうです。背景にあるのは、女性が男性と並んで仕事ができるようになったことや、結婚しないままパートナーと過ごすスタイルも社会が許してくれる時代の風潮。そこから、私たちにとっての結婚の意義やそのあり方も大きく変化しているように思います。

 ただ、それでもどこかで「本当に結婚をしなくてもいいのか」と迷いが残るのも事実。日本よりも独身率の高い欧米では、結婚に関してどんな考え方で、このモヤモヤをどう解消しているのでしょうか。

※注4 メットライフ生命保険「仕事観・人生観・ライフプラン」に関する調査
※注5 平成25年度家族と地域における子育てに関する意識調査報告書