こんにちは、著述・翻訳家の上野陽子です。連載「社会のデキゴト」では、知っておきたい最近のニュースやキーワードを私たちの身の回りの出来事から考えていきます。

 今、原稿を書く机の周りで、お掃除ロボットが上手に椅子の足をよけながらくるくるとお掃除をしています。計算して部屋全体をくまなく動き、段差があれば落ちないように考えてくれるから、ほっといても大丈夫。これはすべて、お掃除ロボットにプログラムされた「AI(エーアイ)」のおかげです。

ねえねえ、そこの丸い子、私と一緒に遊んでよ! (C) PIXTA
<知っておきたい!>
「AI」って何?
AIとは、「Artificial Intelligence アーティフィシャル・インテリジェンス」の略で、人工知能のこと。人間の知的な行動の一部をコンピューターを使って人工的に再現することが目的。コンピューターがたくさんの事例を経験として学んで、人間のように柔軟にタスクをこなしていきます。

 トランプ大統領就任の少し前、アメリカ政府の報告書には、こんな研究結果が引用されていました。

――今後時給が20ドル(約2000円)以下の仕事の83%ではAIが優勢になり、時給40ドル(約4000円)以上の仕事ではその割合は4%にとどまる――。

 そう、AIの技術革新が進んだ結果、コンピューターがこなせる作業の範囲が広がり、人の仕事を肩代わりをできるようになったんです。

 例えば最近は、「セルフレジ」をスーパーで見かけるようになりました。文字通りお客が自分で精算をする、無人のレジです。レジを通した確認も支払いも機械で済ませることができます。6台くらい並ぶレジコーナーには、トラブル対応の店員さんが一人立っているだけ。

 こうしたレジには、「お客が画面の前に立ったら、商品をスキャンし精算する」といった行動がプログラムされています。お客がバーコードをスキャンしたら、購入金額が登録され、購入済みのバッグに入れるまでを感知。スキャンしていない商品がバッグに入った場合は、異常を知らせます。すべてのアイテムのスキャンとバッグへの投入が済んだら、カードや現金など支払い手段をお客に選ばせて精算をします。これ、今までレジの店員がやっていたことです。AIのおかげで、すべて機械がやってくれるわけです。

 他には、無人で運営するコンビニエンスストアの実験も始まっています。ドローンでの荷物配送の構想もあり、配送先は機械が仕分けています。小売や物流以外では、税務処理やローンの査定もAIの恩恵を受けるかもしれません。過去の蓄積データがあれば単純作業化ができるので、こうした事務作業もやがて自動化できるとされています。

 AIがさまざまな作業をこなし、人の仕事を肩代わりする……なんだか便利そうですが、問題もありそうです。AI時代、私たちの働き方がどのように変わるかを少し見ていきましょう。