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ハラスメント、LGBT…日本のジェンダー教育に奮闘(2/3)

2018年6月12日

「ジェンダーは社会的に構成された概念」だと知ること

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「ジェンダーは社会的に構成された概念」だと知ること

 「例えば私たちが『女性だから』『男性だから』と特定の性別と結び付ける行動や好みというのは、決して生物学的に、もともと存在していたものではないですよね。女性がピンク・男性が青、女性は家庭・男性は仕事、といったような考え方や感覚は、歴史の変遷の中で社会によって構成されたものだと説明します。とはいえ、最初は参加者もピンとこないので、いろいろな国の挨拶を例に挙げます。

 例えば、日本では会釈やお辞儀、アメリカではハグ、またフランスではキスをします。日本で挨拶としてキスをしたら相手に驚かれるけど、フランスでは普通に受け入れられる。つまり、絶対的な挨拶の仕方はなく、それぞれの国で長年にわたってつくられてきたマナーや礼儀なんです。社会によって、何が『普通』なのか、が決められている。こうした説明をすると、参加者たちはイメージが湧くようです」

 このように、男性であること、女性であること、LGBTであることが、いかに社会に定義づけられているかを話し合うセクションは、参加者にも人気があるという。

 セクションでは、それぞれのジェンダーに対するアイデンティティーのステレオタイプが狭い場合、それに適さない人がどう感じるかというテーマで議論したり、日本の広告に存在するジェンダーのステレオタイプを発見して広告からステレオタイプを取り除くという実践的な演習も行ったりする。

 「このような演習をすると、日々、日本で触れているメディアでは、女性が『主婦』、男性が『サラリーマン』で描かれている傾向が見えてくるんですね。参加者たちは、今の自分の家族や友人の状況と比較し、広告をどう感じるか話し合ったり、広告に、LGBTの登場人物を入れるべきだという提案もしたり。
 このような演習の目的は、社会における特定の立場や役割を批判することではなく、その立場や役割の捉え方を広げることです。ジェンダーのステレオタイプがあまりにも狭いと、個人や社会の可能性を潰してしまう危険がありますから」

ジェンダー教育での重要なポイントは、「ジェンダーは社会的に構成された概念である」と理解することだと、ワークショップで伝えていく

自分たちにもジェンダーのステレオタイプによる悩みはある

 話し合いを進めていくと、参加者自身が持っているジェンダーのステレオタイプによる悩みを口にするケースも多いそうだ。

 「男性の多くは(若い人でも)、自分が稼ぎ主にならなければいけないプレッシャーを口にします。また、女性参加者の中には、自分の母親のような専業主婦にならず、仕事を続けることを選んだら、親が選択したその当時の『あるべき姿』を批判するような気がして申し訳ない、と話す人も。期待されているジェンダーの役割に当てはまらないと、周囲を落胆させるのではないか、という不安の声もよく聞きますね。

 ワークショップではさらに、レズビアン・バイセクシャル・トランスジェンダーの人は、性別とアイデンティティーの理解を得られず、差別を受けやすいことも説明してみんなで考えていくのです」

 ジェンダーを人権という視点から考えることも、教育において重要なポイントだ。

 例えばワークショップでは、職場のハラスメントについて、何がハラスメントに当たるのかを挙げた上で、それに対応する国内の法律や国際法の基礎知識やハラスメントが起きやすい環境やポイントを共有して、実践的なケース・スタディーを実施するという。このケース・スタディーでのシナリオは、例えばこんな設定だ。職場で女性の部下が男性の上司からセクハラを受け、不快であることを本人に伝えたが、改善されなかった。周囲に相談すると、社内の調和を乱していると上司と同僚から疎外され、結果的に辞めてしまった――。

国際基督教大学でのワークショップの様子。参加者のさまざまな意見が交わされる

 このような具体的な事例をもとに、何がハラスメントなのか、周囲の反応はどうなのか、細かく分析する。すると、ハラスメントが起きる力関係の構図や環境が具体的にイメージできて、効果的だとカロリーナさんは言う。

 「このケース・スタディーをすると、参加者は男女問わず、被害者である女性の責任を問い、加害者の上司に寄り添う傾向があるんです。

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大倉 瑶子
大倉 瑶子(おおくら・ようこ)
特定非営利活動法人 SEEDS Asia ミャンマー事務所代表。テレビ局で報道記者・ディレクターとして4年働く。東日本大震災の取材を通して、防災や災害復興に興味を持ち、退職し、ハーバード大学ケネディ・スクールで公共政策修士号を取得。マサチューセッツ工科大学(MIT)のUrban Risk Labを経て、現職。
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