友人宅から、上司の自宅、彼の実家まで、誰かの家を訪問する際、マナーに迷う人が目立つ。読者調査でもプライベートで迷うマナー1位に。日本のしきたり、作法を指導する、「清紫会」新・作法学院学院長の近藤珠實さんに、好印象を与えるオフタイムの訪問マナーを聞いた。

感謝の気持ちを表して

 最近は、「誰かの家を訪問する機会がめっきり減ってしまった」と近藤さん。それだけに、「招かれたとき、どう振る舞えばいいか分からない」のが正直なところ。いざというときに「常識知らず」と思われないよう、最低限のマナーは頭に入れておこう。

 最も注意すべきは、日時・人数・滞在時間などの約束を守ること。「約束の時間に5分以上遅れるときは、必ず連絡を入れてください。どれくらい遅れるか把握できれば、招く側も安心ですし、ほかのことに時間を使うこともできるでしょう」。

 招いてくれたことへ「感謝の気持ちを表すこと」も大切。「相手が喜ぶ手土産を探すことも礼儀のひとつ。玄関先では“お招きありがとうございます”と笑顔を」。

 ごちそうが出てきたときは、遠慮なくいただき、「おいしい」と素直に口にして。招く側の、客をもてなそうとしてくれるその気持ちに、心から感謝しよう。

相手が喜ぶ手土産を探すことも礼儀のひとつ (C)PIXTA
相手が喜ぶ手土産を探すことも礼儀のひとつ (C)PIXTA

好印象を与える訪問の基本

訪問前から帰った後まで、訪問時に気を付けたいことをまとめてチェック!

訪問前

・手土産を準備。
・おいとまする時間を伝えておく。

 喜ばれる手土産を選ぶためにも、事前の情報収集はできるだけ細かくしておく。訪問すると決めた段階で、おいとまする時間もやんわり伝えておくと、先方もどんな準備が必要か把握できてよい。「予定がありますので、午後4時には失礼いたしますね」「朝型生活を実践中なので、夜8時前にはおいとましますね」など。

玄関・部屋で

・冬のブーツ、夏のはだしは厳禁。
・ごちそうがでてきたら、しっかり褒める!

 ぬぎにくいブーツは訪問時はさけた方がよい。また、はだしであがるのも不作法。「靴下を持っていくとよいですね」。招く側が用意したごちそうは喜んでいただき、“おいしい”としっかり褒めるのがお約束。上司には、自宅や妻の自慢をしたい人もいるはず。ここは大いに盛り上げたい。「こんなにごちそうになってしまって。ありがとうございます」「すごくおいしいです」「料理がお上手ですね」など。

帰り際・訪問後

・帰宅の時間を自分で決めておく。
・おいとまの言葉は自分から。
・後日、お礼状を送れば丁寧。

 あらかじめ「○時頃には帰宅しよう」と決めておこう。おいとまは訪問者が切り出すものと、心得ておきたい。外まで見送られたときは、一度振り返り、お辞儀をするのがマナー。相当なごちそうをいただくなど、お礼が必要と感じたら、「思いがけないごちそうをいただき、ありがとうございました」など、はがきでも一筆箋でもいいので一言送ると好印象。

訪問のNGマナー

・予定の時間より10分以上早く行く。
・15分程度の遅刻なら連絡しない。
・近くに来たからと、突然訪問する。
・呼ばれていない知人を連れていく。
・長居する。

 招く側は、約束の日に向けてもてなしの準備をしているはず。にもかかわらず、当日になって予測不能な行動に出られると、その準備は台なしに。約束は守るためにあると、肝に銘じておきたい。