細かい家計簿なしでも、手帳で無理なく節約&貯蓄ができます。ポイントは、書く前に計画を立てて出費の管理に手帳を生かすこと。その方法を、社会保険労務士でFPの井戸美枝さんに聞きました。

月単位の予算を意識しよう

 「毎月月収の25%を貯めるはずが、つい無駄遣いをしてしまう」。こんな人におすすめしたいのが、手帳を使ったお金の管理だ。「手帳では年・月・週の単位で書き込めるので、何に無駄遣いをしているかが浮き彫りになる」と、社会保険労務士でFPの井戸美枝さん。

 使い過ぎをやめ、賢く節約したい人にピッタリの手帳の付け方を紹介しよう。かかる時間は1日たった10秒だ。

 ポイントはまず、「1カ月間に使っていいお金の額=予算」を知ること。1カ月の予算を明らかにし、その範囲内に支出を収める努力をする。そうすれば、ダラダラとお金を使わなくなる。やり方は簡単。「手取り年収から1年分の固定費(家賃など)・貯蓄目標額・大型出費(旅行代など)を引いた、残りの額が“1年間に使っていいお金”。それを12で割ったものが『1カ月に使っていいお金』です」。

 下の例のAさんの場合なら、美容・服飾費や交際費など月によって使う額が変わる“変動費”をこの範囲でおさまるようにすればいい。そこで費目ごとに1カ月の上限額を決めて、マンスリーページに記入しておく。日々の出費はレシートを見て毎日手帳に書き込み、同時に費目ごとにその月あといくら使っていいかも記入する。1カ月を通して出費が上限額におさまるようにしよう。

予算を見える化

1年間の予算を出す
年収から、家賃、光熱費、貯蓄など「決まって出ていくお金」を引く

手取り年収−
<A>固定費12カ月分<B>貯蓄12カ月分<C>大型出費)=<D>
※<A><B><C>は決まって出ていくお金

例)Aさんの場合---手取り年収360万円 手取り月収30万円
360万円(手取り年収)-(<A>126万円+<B>90万円+<C>20万円)=
<D>144万円(年間の予算)

<A>固定費:計10万5000円(1カ月)
   (住居費:6万円、水道・光熱費:7000円、通信費:1万3000円、食費:2万5000円)
   →計126万円(12カ月)
<B>貯蓄:7万5000円(1カ月)
   →計90万円(12カ月)
<C>大型出費(旅行代、帰省費用、家電の買い替えなど):計20万円

1カ月に使っていいお金=「予算」を出す
年間の予算を12カ月で割る

<D>÷12カ月=<E>

<D>144万円÷12=<E>12万円(1カ月の予算)

1カ月の予算の使い途を決める(固定費、貯蓄以外の“変動費”)

<E>の内訳(例):美容・服飾費:3万円、外食費:2万円、交際費:4万円、自己投資費:3万円

内訳の決め方:何にいくらお金を使っているか分からない人は、1〜2カ月間、出費をメモし、下のように大きな費目に分類する。そのほか、こまごました出費があれば、「その他」の枠にまとめてもOK。

費目ごとの上限額を手帳に記入する

ノートページに年間予算と、1カ月の予算を一番上に書き、その下に1カ月の予算の割り振りを書いておく。

マンスリーページに費目別の1カ月の予算を書き、使っていい金額を明らかに。