顧客のクレームを乗り切る!
●責任者に代わってくれ、と言われたとき
×
「
まずは私がお話を伺います
」
○
「誠に申し訳ございません。
担当者に引き継ぎをいたしますので、
もう少々状況を伺えますか?」
「まずは私が〜」では責任者に代わる気がないように聞こえてしまう。「担当者に引き継ぐので」という一言で、相手の要望に応える意思があることを伝える。
●向こうの勘違いによるクレームだったとき
×
「
それは違う
と思うのですが…」
○
「こちらの
記憶違いでしたら申し訳ありません。
もしかしたら、○○ではないでしょうか」
相手の明らかな勘違いでも、最初から指摘すると逆ギレされる恐れも。「記憶違い」「思い違い」などのフレーズを使って、「もしかしたら〜」とやんわり指摘する。
●延々と続くクレーム電話を切り上げたいとき
×
「
ちょっと忙しいので、
この辺で失礼します」
○
「貴重なご指摘をいただき、本当にありがとうございます。
社内にも情報を共有したいと思いますので、いったん失礼させていただいても
よろしいでしょうか」
相手の怒りを買わないよう、こちらの都合を伝えるのは避けて。指摘を前向きに生かすために電話を終わらせたい旨を伝えつつ、相手に許可を求める表現に。
●他人のミスについてクレームを言われたとき
×
「
担当者に言っておきます
」
○
「
申し訳ございませんでした。
すぐに原因を調べます」
「担当者に〜」は、自分のせいではないという態度を示しているように取られるので避け、まずは会社としてお詫びの姿勢を示すこと。
●こちらのミスが続いて、深くお詫びしたいとき
×
「
申し訳ございません
」
○
「何度もご迷惑をおかけしてしまい、
なんとお詫びを申し上げればよろしいのか…本当に申し訳ございません
」
深くお詫びをしたいときは、「申し訳ございません」だけではやや足りない印象に。「なんとお詫びを申し上げれば〜」と、最上級の表現でお詫びの気持ちを表す。
●「店員の態度が悪い」とクレームを言われたとき
×
「
どのような状況だったのか
お聞かせいただけますか?」
○
「社員教育が行き届かず、
誠に申し訳ございません
」
真っ先に状況確認から入るのは、相手を疑っているような印象を与えるのでNG。状況確認は後にして、まずは相手を不快にしたことに対して謝罪する。
職場内で乗り切る!
●飲み会の誘いを断りたいとき
×
「ちょっと
今日は…
」
○
「お誘い
ありがとうございます。
ご一緒したいのですが、今日は先約が入っているので、
またぜひ誘ってください
」
曖昧な言葉で断るのは印象がよくない。まずは誘ってくれたことへのお礼を伝え、行けない理由と「また誘ってほしい」の一言を伝えよう。
●人前で褒められて、謙遜したいとき
×
「
いえ、
そんなことないですよ」
○
「
ありがとうございます。
でもまだまだです」
否定するだけでは、褒めてくれた人にも失礼な印象に。まずは感謝の言葉を伝えてから、「まだまだです」と謙遜の気持ちを表現すると好感度が上がる。
●ダラダラした飲み会を終わらせたいとき
×
「もうそろそろ
帰りません?
」
○
「そろそろ
家が遠い方の終電が心配なので、
お開きにしませんか?」
直接的すぎる言い回しは、退屈だと思っているような印象に。できれば自分の都合よりも、ほかの人の都合をおもんぱかった表現を使うと角が立たない。
●職場のギスギスした雰囲気を変えたいとき
×
「みんなイライラするの
やめましょうよ
」
○
「
コーヒーでも飲みませんか?
私、買ってきますので、皆さんご希望を教えてください」
みんながイライラしていることを指摘するような言い方は、火に油を注ぐことも。「コーヒーでも〜」などと仕事から話をそらすと周囲も気分を変えてくれる。
●先輩のファッションを失礼がないように褒めたいとき
×
「あら、ストライプのシャツなんて
珍しいですね
」
○
「先輩の今日のシャツ、
すごく素敵ですね
」
「珍しいですね」は、受け取り方によっては相手をからかっているようにも聞こえる。「素敵ですね」と、はっきりとした褒め言葉を入れよう。
●忙しい時期、用事があって自分だけ先に帰りたいとき
×
「
ちょっと用事があるので、
お先に失礼します」
○
「
申し訳ありません、今日はどうしても外せない用事があるので、
お先に失礼してもよろしいでしょうか」
自分の都合だけをアピールするのは身勝手な印象に。お詫びの気持ちと、「今回だけは」というニュアンスを込めて、「失礼してもよろしいでしょうか」と聞く。
話し方・ビジネスマナー講師
テレビ朝日のアナウンサーを経て、93年からフリーアナウンサー、話し方講師として話し方や言葉遣いに関する講義を行う。近著は『会話が弾む! 一目置かれる! 気の利いた「ひと言」辞典』(講談社)など。
取材・文/工藤花衣
日経WOMAN2015年4月号掲載記事を転載。情報は記事執筆時に基づき、現在では異なる場合があります。