心の疲れを放置したままだと肩や首のコリのごとく、心の中に根強い“コリ”が生じてしまいます。ネガティブ感情のスパイラルに陥る前に早めのリセットを心がけましょう!

感情の揺れは自然なもの気負わず上手に付き合おう

 「以前より、坐禅に訪れる30〜40代の女性が目立ちます。ストレスを抱えて苦しむ人が増えているのだと思います」と話すのは、禅僧で神奈川県横浜市にある建功寺住職の枡野俊明さん。職場で無理に感情を抑え込むことで消耗したり、将来不安が大きかったり。心の疲れを手放せずに抱え込んでしまいがちだ。

 「ストレスを受けて感情が揺れるのは自然なこと。生きている証拠です」と枡野さん。ネガティブな感情は、受け流したり手放したりできれば“増殖”することはない。しかし、ためこむと、次第に心に焼き付いてしまい、疲れを通り越して、心の“コリ”となってしまう。この心のコリが、「イライラして人に当たる」「いつも不安を抱えている」といった、人それぞれの“疲れグセ”となって表に出てくる。

 心理学博士の山口まみさんは「ネガティブな感情が朝になっても消えないのは、疲れが“コリ化”している証拠」と話す。

 どうすればネガティブな感情を上手に解消できるのか。山口さんは「嫌な感情から目を背けないこと」と説く。

 例えば「怒り」。「不当に扱われたと感じると、怒りが湧くのは自然なこと。『怒り』のおかげで問題に気づき、対策を講じることができるのです」(山口さん)。当然、怒りを人にぶつけるのは、正しい解消法ではない。まずは怒りの正体を知り、受け止めること。「なぜ、自分は怒っているか」を紙に書き出したり、声に出してみたりするといい。「さらに、怒ることのメリットとデメリットを挙げる。感情を客観的に見られて、それだけでも、凝り固まった感情が緩むはずです」(山口さん)