食品に含まれる成分が、自律神経のスイッチを切り替えることがわかってきました。脂肪を燃やしたい人、リラックスしてぐっすり眠りたい人は何をとればいいかを紹介します。

 食品には、自律神経に作用して体温を上げて脂肪を燃焼したり、リラックス効果をもたらすものもある。

 例えば、唐辛子やショウガの熱産生・脂肪燃焼作用がこれ。唐辛子やショウガをとると体が熱くなるが、「これは、辛み成分のカプサイシンやジンゲロールが消化管の温熱受容体に作用し、交感神経を介して褐色脂肪細胞での熱産生を促すから」と京都大学大学院農学研究科の河田照雄教授は説明する。

 辛み成分やその類似成分が温熱受容体に作用すると、その刺激を感知した脳は、脂肪細胞に向かう交感神経に指令を出し、白色脂肪細胞では脂肪の分解を、褐色脂肪細胞では脂肪を燃やして熱産生を促進する(下図)。

 体内の脂肪細胞には、余った脂肪を蓄積する白色脂肪細胞と、脂肪を燃やして熱を作る褐色脂肪細胞の2種類がある。「カプサイシンなどの辛み成分が、胃腸にある『温熱受容体』に作用すると、脳を経て脂肪細胞の交感神経活動が高まり、白色脂肪では脂肪の分解が、褐色脂肪では脂肪の燃焼が促進される」と河田教授。また、白色脂肪細胞を、褐色脂肪細胞のように脂肪を燃やす「ベージュ細胞」に変化させる働きがあることもわかってきた。

 食品と自律神経の関係に詳しい自治医科大学医学部生理学講座講師の岩𥔎有作さんは、「こういった食品成分による交感神経への作用は、短時間で非常にわずか。辛いものを多少多めに食べたからといって、自律神経のバランスを乱すほどの影響はない」と説明する。

 次のページでは、脂肪を燃やす交感神経のスイッチを入れる「辛み成分」や「カフェイン」がとれるドリンク、交感神経の興奮を鎮め、全身をリラックスさせてくれるハーブのドリンクを紹介しよう。