ハーブは交感神経の興奮を鎮め、全身をリラックス

 一方、交感神経の興奮を鎮め、副交感神経の働きを高める食品もある。例えば、カモミールの香り成分は嗅覚を介して副交感神経に作用し、リラックス効果をもたらす。

 「トマトや発酵食品に多く含まれるGABA(ギャバ)、緑茶に含まれるテアニンといった成分もリラックス効果を高める」(中部大学応用生物学部・横越英彦教授)。

ほっとする香りや味は脳の興奮を抑え、やすらぎを与える

カモミールやジャスミンの香りをかぐと、脳は交感神経の興奮を鎮め、副交感神経の働きを高めることで、全身をリラックスモードに切り替える。これは、鼻腔上部の粘膜にある嗅細胞が香り成分をキャッチし、電気信号として受け取った脳が「リラックスできる香り」と判断したことによる。このようなリラックス反応は、甘みやうまみなど、味覚を介しても起こる。ただし、香りや味は、濃度や好みによって全く逆の反応を見せることがある。

ジャスミン&カモミールのほっとドリンク

「ジャスミン&カモミールのハーブコーディアル」大さじ1〜2を150mlほどのお湯で割って飲もう。

ジャスミン&カモミールのハーブコーディアル

<材料>
カモミール(乾燥)…13〜15g
ジャスミン茶…5g
てんさい糖(三温糖、上白糖でも可)…100g
レモン汁…1/2〜1個分

<作り方>
1.鍋に水600mlを入れて火にかけ、沸騰したら、カモミール、ジャスミン茶の茶葉を入れて弱火で3分煮る。火を止めて蓋をして5分置く。

2.1をザルで漉し、てんさい糖を加えて中火にかける。沸騰寸前でレモン汁を加え、再び沸騰したら火を止める。

3.冷めたら保存容器に入れて冷蔵庫へ。1週間ほど持つ。

この人たちに聞きました
河田照雄教授
京都大学大学院 農学研究科 食品生物科学専攻 食品分子機能学分野
専門は食品機能学、脂質代謝と肥満の制御科学、香辛料の健康機能学など。カプサイシンがTRPという受容体に作用し、交感神経を介して脂肪燃焼を促進するメカニズムを発見した。

岩﨑有作
岩﨑有作講師
自治医科大学医学部 生理学講座 統合生理学部門
静岡県立大学食品栄養科学部卒業後、同大学院修了。博士(食品栄養科学)。専門は神経生理学。食品成分や食関連ホルモンの自律神経を介した食欲、エネルギー代謝調節機構を研究。

横越英彦
横越英彦教授
静岡県立大学 名誉教授
中部大学応用生物学部 非常勤講師

専門は、食品成分と脳内神経伝達物質及び脳機能に関する研究。「口から入る成分だけでなく、香りや視覚情報もリラックス効果に影響する。おいしそうな見た目というのは重要」。

取材・文/大塚千春、堀田恵美 レシピ考案・スタイリング/タカハシユキ 写真/鈴木正美 図版/三弓素青

 

日経ヘルス2016年12月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります

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