4.肌が弱いのにさら湯に入る

→肌荒れ、かゆみの原因に

 わかしたてのお風呂(さら湯)は気持ちがいいが、水道水に含まれている塩素が肌を刺激することも。塩素を除去するためには入浴剤が有効だ。

 「日本の入浴剤は、塩素が除去できるグルタミン酸やアスコルビン酸(ビタミンC)を含んでいるものが多い」(早坂教授)。

 塩素除去には市販のビタミンCの粉末を入れてもいい。「浴槽1杯の湯(約180L)にビタミンC0.2〜0.3gが目安。ゆずやミカンなど果物を入れるのもお薦め。半分に切った方がビタミンCが溶出しやすいが、果汁が出すぎると肌に刺激になる場合もあるので注意」と早坂教授。

 入浴剤には、肌への刺激となる浸透圧の差を減らす働きもある。「傷があるときに入浴するとしみるのは、真水が人間の体に対して浸透圧が低いため。人体と同じ濃度の生理食塩水なら刺激とならず、傷にもしみない。浴槽の湯に入浴剤を入れると、ミネラル分が溶け込み水道水の浸透圧が上がり、肌への刺激が和らぐ」(早坂教授)。

アスコルビン酸(ビタミンC)はドラッグストアなどで300g1000円程度で購入できる。1回当たり1円程度なので経済的だ。付属のスプーン付きで売られているものが多い。

さらに美肌になるポイント

浴槽のお湯だけでなく、シャワーから出るお湯に含まれる塩素にも目を向けよう。カートリッジに入ったビタミンCが残留塩素を低減してくれるシャワーヘッドもある。

「TOTO ビタCシャワー THY718-2R」
塩素を除去して体にやさしい水を作るシャワーヘッド。切替タイプで必要なときだけ塩素を軽減できる。カートリッジの寿命は約3カ月。9050円(税別)。問/TOTO

5.入浴中にスマホを見る

→肌荒れ、くすみの原因に

 スマホをお風呂に持ち込んで入浴中もいじったりしていない? 本来はリラックスして副交感神経の活動が優位になる入浴タイムにスマホを見ると、交感神経が活発に働き、自律神経が乱れやすくなる。

 「自律神経が乱れると血流が悪化し、肌荒れやくすみの原因につながる」と漆畑院長。

 入浴中は、より副交感神経が優位になるようなリラックス法を心がけよう。「入浴中は〝鎧を脱ぐ〟瞬間で、素の自分に戻って心身がほぐれる時間。昼間にあったつらいことを思い出して思い切り泣くのもお薦め」(漆畑院長)。

この人たちに聞きました
漆畑 修
漆畑 修院長
宇野皮膚科医院 (東京都世田谷区)
温泉療法医。東邦大学客員教授。東邦大学大橋病院皮膚科部長、美容医学センター長、栄養部長、院長補佐を経て現職。著書に『美しくなる入浴術』(メディカルトリビューン)ほか。

早坂信哉
早坂信哉教授
東京都市大学 人間科学部
温泉療法専門医。一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長。入浴を医学的に研究する。著書に『たった1℃が体を変える ほんとうに健康になる入浴法』(KADOKAWA)。

慶田朋子
慶田朋子院長
銀座ケイスキンクリニック (東京都中央区)
東京女子医科大学卒業。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。美肌に役立つスキンケアなどのわかりやすい解説に定評がある。近著『365日のスキンケア』(池田書店)が好評。

取材・文/羽田 光(日経ヘルス編集部)

日経ヘルス2016年10月号掲載記事を転載
この記事は雑誌記事執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります

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