家族の関係も変わる。パートナーと役割交代をしながら、柔軟に変化を

 「さて、男性の皆さん! 奥様が専業主婦で、二人とも100歳まで生きることにすると、あなた一人の力で家族全員を100歳まで金銭的にしっかりと支えられますか!?」。イベント会場に集まった男性たちに対して問いかけるリンダさん。会場はザワザワとし、苦笑する人たちも。

 「有形資産と無形資産のバランスを取るには、結婚と夫婦のあり方も重要です。人生100年時代では“夫だけが働き続ける”・“妻だけが家事をする”というような、性別役割分業という考えは徐々に通用しなくなっていきます。夫婦二人で働いて、お金を稼ぐ負担をシェアすれば、老後の生活資金が貯蓄しやすくなるのは明らかです。また、長い人生ではパートナーと交互に役割を交代する期間があってもいいでしょう。皆が100歳まで生きる時代には、皆が生産的になる必要があり、そのためには柔軟に変化して協力し合うことが大切です」。

 働き方も多様化する時代が来ています。

 「20歳から80歳まで同じ会社で勤めあげることは現実的には難しく、今後はフリーランスやジョイントベンチャーを志す人も増えていくでしょう。小規模ビジネスも増えていくでしょうし、企業は新卒一括採用から年齢にこだわらない柔軟な採用を視野に入れる必要が出てきます」。

 100年という長い人生をどう生きていくのか。政府や企業が動くまで待つのではなく、今、私たち一人ひとりが自分たちで考えて行動する、試みの時期に差し掛かっているといえそうです。

文/吉田明乎


『ライフ・シフト~100年時代の人生戦略~』
 著者:リンダ グラットン/アンドリュー スコット
 出版社: 東洋経済新報社
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