知らないと損する「お金の新しい常識やお金を増やすヒント」について、AFPで消費生活アドバイザーの山崎俊輔さんが、新刊の発売を記念して、日経ウーマンオンラインに特別寄稿する3回連載の第2回。今回は、正社員という働き方について考えます。



 5月になりました。多くの企業はゴールデンウイークで長い休みに入り、休みの谷間に当たる5月1日、2日は、通勤電車がガラガラになっていることでしょう。休みが明けるとまた仕事かあ……と憂鬱に感じている方もいるかもしれません。

 もし、仕事に行くのが憂鬱、辞めようかなあと考えていたとしても、あなたが今、正社員で働いているなら、正社員であることのメリットを十分に自覚し、正社員の座はそう簡単に手放すべきではありません。正社員以外の働き方をしているなら、そこで長く働くことよりも、正社員になる方法を真剣に模索することをおすすめします。

 なぜなら、同じ仕事をしていても、正社員と派遣やパートなどの非正規雇用で働く人たちとでは、稼ぎや労働条件に大きな差があるからです。

正社員になる方法を真剣に模索しませんか (C)PIXTA
正社員になる方法を真剣に模索しませんか (C)PIXTA

 例えば、非正規雇用の場合、

休みが多い月は収入が減る……パートやアルバイトは労働時間や日数に収入が比例するので、連休や年末年始などで休みが多いと給料が下がってしまう。正社員は基本給が保証されている。

ボーナスがない……多くの会社では正社員にボーナスがあるが、非正規にはないことも多い。つまり、同じ仕事をしていても、正社員は年間で3~6カ月分くらい給料を多くもらっているようなものである。

昇級がほとんどない……正社員と非正規の働き方の最も大きな差は、非正規は年収が増えないこと。統計的にも、非正規は年齢が上がっても収入がほとんど上がらないことが明らかになっている。

有給休暇が使えない(本当はあるのだが)……休んでも給料がもらえる有給休暇制度は、労働者なら誰でも与えられる権利だが、非正規の場合、無給扱いになることも多い。

病気やケガのときに収入が不安定……正社員なら出る健保の「傷病手当金」が、非正規は使えない場合が多く、契約が更新されない「雇い止め」になる可能性もある。

いきなりクビになる可能性がある……病気に限らず、人員整理の必要な場合、正社員の解雇は難しいので、パートや派遣社員から先に仕事がなくなる。

厚生年金制度が適用されないことも多い……厚生年金の適用を受ける正社員は給与を約9%多くもらえているのと同じ(厚生年金保険料率は、給与と賞与の各18.3%。会社がその半分を負担し、国に払っている)。将来の年金も大きく増える。

退職金が出ない……正社員にのみ退職金を支払う会社がほとんどである。年収1~2年分になる場合もある。

同じ仕事をしていても、正社員と派遣やパートでは条件がこんなに違う 出典/『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』
同じ仕事をしていても、正社員と派遣やパートでは条件がこんなに違う 出典/『読んだら必ず「もっと早く教えてくれよ」と叫ぶお金の増やし方』